播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

アルファ米用保温ケース:ライスポーチ

2021年10月追記
この記事で紹介した製品は、すでに製造・販売が終了しています。
モンベルから類似の製品「フードコジー」が販売されていますので、必要な場合はそちらをご検討ください。

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▲モンベルのフードコジー

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▲モンベルのフードコジーの内側
追記ここまで

 

食事は、私の山歩きの重要な楽しみの一つです。

 
暑い季節ならコンビニのおにぎりでも良いのですが、涼しい時期は、おにぎりや弁当の冷え固まったご飯ではなく、温かいご飯を食べたいのです。
そんな私にとって、手軽に暖かいご飯を食べられるアルファ米は、山歩き用の食料から外せません。
 
しかし、そのアルファ米にも問題があります。
それは、お湯を入れてから出来上がるまでに15分かかるということ。

夏場は良いのですが、冬場だと15分後にはかなり温度が下がってしまうため、アルファ米のパッケージを入れられる適当な断熱ケースが必要です。
 
ある日、アウトドア用品の店の中をぶらぶらしていたら、「ライスポーチ」なる製品が目に留まりました。
商品説明を見ると、まさしく私が求めていたものではありませんか。
 
それまでは、アルファ米が出来上がるまでの15分間、保温のためアルファ米は100円ショップのクッションバッグに入れていました。しかし、サイズがアルファ米にあっていませんでしたし、劣化してヘロヘロになっていたため、本当に保温できているのか疑問でした。
 
普段なら物欲大魔王に一瞬で制圧される私の理性が珍しく「こんな袋に1500円も。。。100円ショップのクッションバッグでいいじゃないか。」と反撃に出ましたが、数十秒の激戦の末、物欲大魔王の勝利で戦いは幕を閉じました。
 
 
▲ライスポーチ(大きさの比較のため、アルファ米のパッケージを並べています)
 
製品名: mountain dax ライスポーチ(ブラック)
型番: DA-725
メーカー: 株式会社ダックス(日本)
重量: 59g(カタログ値)
サイズ: 11.5cm×16.5cm×5.5cm(カタログ値)
材質: 3mm厚ネオプレンゴム
カラー: ブラック、サックス、レッド、オレンジ、イエロー
定価: 本体価格¥1,400
購入先: アドスポーツ(兵庫県姫路市)
 
ライスポーチはネオプレン(クロロプレンゴム)で出来ているためしっかりしていますし、手触りからも耐久性と断熱性・保温性に期待が持てます。
 
 
▲ライスポーチ(蓋を開けた様子)
 
 
 
▲ライスポーチ(外側)
 
当然のことながら、サイズはアルファ米のパッケージにぴったりです。
※1枚目の写真からは、アルファ米のパッケージの方が背が高いため、上部を折りたたまないとポーチに入らないように見えますが、開封する際に上端は切り取られるため、開封後のアルファ米のパッケージは、左側のライスポーチと同じ高さになります。
 
アルファ米のパッケージは底部にマチがありますが、ライスポーチもそれに合わせてマチが付いています。
 
 
▲ライスポーチ底面のマチ
 
アルファ米を調理するときは、まずアルファ米のパッケージに熱湯を注いでよく混ぜ、口を閉じてからライスポーチに入れます。そのまま7~8分放置したら、今度は上下を逆にして岩などに立てかけておき、残り時間放置します。
 
ライスポーチに入れる前にアルファ米にお湯を入れるのは、お湯の量を適正にするため(パッケージをしっかり広げて平らな場所に置いた状態で、線まで熱湯を注ぐため)。
途中で上下をひっくり返すのは、全体を均一に仕上げるためです。

私の場合は混ぜ方が不十分なのか、途中でひっくり返さないと下部がべちゃべちゃ、上部は固いご飯が出来てしまうことがあるのです。
 
出来上がったアルファ米を食べるときは、ライスポーチの蓋を開けて内側に折り込み(あるいは外側に折り曲げて手で押さえておく)、ライスポーチに入れたまま食します。
 
こうすることで、パッケージを直接持つのと違って熱さに悩まされることがなくなり、冷めにくくなります。
 
 
▲アルファ米を食べるときの様子(パッケージの熱さを感じなくて済む)
 
ライスポーチの保温性がどれほどのものか、せっかくなので、ライスポーチを使わない場合と使った場合の差を測定してみました。
 
測定条件等は、以下の通りです。
 
測定方法:
 尾西のアルファ米の空きパッケージに、沸騰した直後の熱湯を200cc注ぎ、すぐにジッパーを閉じて密封する。そして、15分後にサーモグラフィーでアルファ米のパッケージ表面の温度を測定する(※)。
※パッケージ表面と中のお湯の温度はほぼ同じ。場所によって温度が異なるため、お湯がたまっている下部を点ではなく面として測定し、その部分の平均温度を測定結果として使うことにします。
 
用意したアルファ米の空きパッケージは1つしかないため、ライスポーチがない場合とある場合の比較のために、ライスポーチなし/ありの2種類の条件で、各1回測定を行う。
 
測定機材:
サーモグラフィー(FLIR社製i3)
(注)ライスポーチ表面の温度を測定するときの放射率は0.95、アルファ米のパッケージ表面の温度を測定するときは、放射率を0.8にしました。
 
測定場所:
 我が家の台所(ほぼ無風)
 
測定場所の気温:
 セ氏28~29度
 
測定場所の相対湿度:
58~59%
 
お湯の量は、実際のアルファ米の調理に必要な分量は160ccですが、我が家の台所の耐熱計量カップには細かい目盛りがなかったため、切りの良い200ccという分量にしました。
 
まずはライスポーチなし、アルファ米のパッケージ単体でのお湯の冷め方を見てみましょう。
 
下の画像は、お湯がたまっている下部の温度を外側からサーモグラフィーで測定した結果です。
(スポットではなく範囲として測定しています。)
 
 
▲アルファ米のパッケージの温度変化(サーモグラフィーFLIR i3で測定。放射率は0.8に設定。)
 
15分後には、お湯がたまっている付近の温度が16度ほど下がりました。
 
続いて、ライスポーチに入れた状態での温度変化の様子です。
 
 
▲ライスポーチ表面の温度変化(サーモグラフィーFLIR i3で測定。放射率は0.95に設定。)
 
中に入れられた熱湯入りアルファ米パッケージの熱により、15分後にはライスポーチ自体も温かくなっていることが分かります。
 
15分後には、ライスポーチ表面のもっとも熱い場所でセ氏50度を超えていますが、実際はそれほどの熱さは感じません。
 
最初の測定画像にあった15分後のアルファ米のパッケージ表面の温度と、ライスポーチから取り出した直後のアルファ米パッケージの表面温度を比較すると、次のようになります。
 
 
▲ライスポーチなし、あり各状態のアルファ米パッケージ表面温度(15分後)の比較
 
ライスポーチを使わない場合と使った場合では、15分後のお湯の温度に約6度の差が出ました。
 
さて、このライスポーチを使うまでは、アルファ米が冷めるのを防ぐために、前述の通り私は100円ショップのクッションバッグを使っていました。
 
100円ショップのクッションバッグと、このアルファ米専用のライスポーチでは保温性に差が出るのか、実験してみることにしました。
 
ただ、私のクッションバッグは100円ショップの製品だけあって、たいして使っていないのにもうヘロヘロで、断熱性・保温性が期待できないため、ライスポーチと比較するのは不公平です。

というわけで、100円ショップで新たにクッションバッグを買ってきました。
 
以前私が使っていたクッションバッグと同型のものは発見できませんでしたが、ライスポーチの素材に近いクッションバッグ「カラークッションケース」(B5サイズ)が見つかったので、これを購入することに決定。
 
一見するとライスポーチと同様、ネオプレンで出来ているように見えるしろものです(材質はポリエステルとエチレン酢酸ビニル)。
口はジッパーで閉じられるようになっているので、保温性に期待が出来ます。
 
その結果はこちら。
 
水色の四角形が100円ショップのクッションケースの形状です。
 
 
▲100円ショップのB5サイズカラークッションケースに入れた時の、クッションケース表面の温度変化
 
ライスポーチから取り出した直後のパッケージと、クッションケースから取り出した直後のパッケージ表面の温度を比較すると、下の画像のようになります。
 
 
▲ライスポーチに入れた時と、100円クッションケースに入れた時のアルファ米パッケージ表面温度(15分後)の比較
 
ライスポーチとは数度の差しかありません。
 
B5サイズのクッションケースは、アルファ米だけでなくおかずや箸なども収納出来て便利ですし、驚異的な安さもあって、アルファ米を中に入れて保温しながら食べるのが難しいといったデメリットはありますが、なかなか優秀です。
 
ライスポーチは、アルファ米のパッケージにぴったりのサイズなので保温性が高く、ポーチに入れたまま食べることで、長時間温かいアルファ米を楽しめるというメリットがあります。
 
性能の差が小さければコストを優先するという場合は、100円ショップのクッションケースでも十分役に立ちそうです。
 
ちなみにこのライスポーチ、以前紹介したエバニューのALストーブスタンドDXセット EBY255(https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2011/04/09/214247)のキャリングケースとしても使えます。
 
上部に余分な空間が出来るので、アルコールを入れた小型のボトル(私は120mlサイズを使用)も一緒に収納出来ます。
 
 
▲ALストーブスタンドDXセットをライスポーチに入れた状態
 
こんな大げさなポーチをケースとして使わなくても。。。と言われそうですが、見た目や機能と比して高価な製品なので、使えるなら何にでも使って元をとってやろうという、物欲大魔王の私にしては珍しい考えによるものです。
 
2015/2/9追記
冬場の保温性能を調べるため、ベランダで上と同様の実験を行いました。
結果は、以下の画像の通りです。
 
寒くなると、やはりライスポーチの有無で温度の下がり方の差が大きくなります。
 
 
追記ここまで