播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

レーザー距離計:Leica DISTO D510

2007年に購入したライカ(Leica)のレーザー距離計DISTO A6を仕事等で使っていましたが、最近のモデルは小型化され、値段も安くなっているのに、私のA6よりもよほど高性能。
 
というわけで、Leicaの最新(私が購入した2013年春時点)レーザー距離計DISTO(ディスト) D510を購入してしまいました。

 
 
▲パッケージ内容(写真のものの他にハンドストラップと、マニュアルが収録されたCD-ROMが付属する)
 
 
▲本体
 
 
▲電池(単3型リチウム)は本体裏面にセット
 
製品名: Leica DISTO D510
メーカー: Leica Geosystems AG(スイス)
サイズ: 143 × 58 × 29 mm(カタログ値)
電源: 単3型リチウム電池x2本(測定回数5,000回)
測距範囲: 0.05m~200m(カタログ値)
測定誤差: 最大プラスマイナス2mm
インターフェイス: Bluetooth Smart
耐候性: IP65 (耐噴流、耐塵埃)
重量: 198g(カタログ値)
購入価格: ¥59,800(消費税5%時)
購入先: 株式会社ムーヴ(日本)
 
先端からレーザーが照射され、そのレーザーが当たっている場所からレーザー距離計後端(設定によっては前端や三脚穴の中心に変更可能)までの距離を1ミリ単位で測定するための機械です。
 
 
▲レーザー照射・受光部・カメラがある先端部。一番大きな丸い部分が受光部で、右上が発光部、右下の四角い部分がカメラ。
 
部屋のレイアウトを変更するときや、家具・カーテン・カーペットなどを購入するとき(特に天井の高さや家具だらけの部屋の寸法を測るとき)にはとてつもなく便利ですし、単なる興味でいろいろなものを測定して遊ぶのも楽しい。
 
楽しいだけではなく、巻き尺を使うより断然早いし、1人で作業できるのも魅力。
 
室内での作業では問題なく使えるのですが、古いA6では屋外での性能に限界を感じるようになってきました。

A6で特に気になっている欠点は、明るい屋外ではレーザードットが見えず、使用不可になる点。山歩きの最中に、崖や滝の高さを測るのは不可能です(普通はそんなことしませんが)。

A6にはレーザードットが見えづらい状況でも照準ができるようスコープが付いていますが、それが非常に使いづらいですし、仮に照準ができても測定対象が明るすぎるとセンサーがレーザーを検知できません。
 
7年前に購入した同社製A6と今回購入したD510を比べると、以下の違いがあります。
 
 
▲サイズ比較(A6(左)とD510(右))
 
 
▲液晶画面比較(A6(左)とD510(右))
 
D510は、
・カラー液晶画面を搭載
・照準用カメラを搭載
・角度センサーを搭載(多様な測距方法が利用可能)
・本体がA6よりも若干小型
・使用する電池が単3型リチウム電池(これはコストの面で旧製品より不利)
 
しかも、性能が上がっているのに値段は2万円近くも下がっています。
 
角度センサーを搭載したことで、たとえば手が届かないほどの高さの塀の向こうにある建物の外壁までの距離を測るのも簡単(私は使いませんが、測量関係の業務をされている方には便利かも)。

塀の上に見えている建物の壁にレーザーを照射して距離を測ると、角度センサーがレーザーの照射角を割り出し、斜距離を水平距離に換算して液晶画面に表示してくれます。
 
 
▲斜距離を測るだけで水平距離が分かる(Smart Horizontal Mode)
 
角度センサーを使うと、木や電柱、送電線等の高さを測ることも簡単です。

三脚に距離計を据え付けたり、壁や立木などに多機能エンドピース(後述)を当てる、あるいはしっかり手で保持し、まずは目標の下端にレーザーを照射。
続いて距離計の後端の位置が前後、上下左右にずれないように注意しながら距離計の先端を上に向けていき、目標の上端にレーザーを照射。
すると、角度センサーにより対象の高さが計算されます。
 
レーザーが見えない場合は、照準用カメラの映像を頼りにすれば問題なし(本体の角度を元に高さを割り出すので、上端は測距しません。したがって、レーザーが見えなくても液晶画面の中心に上端を捉えるだけで高さを測定可能です)。
 
 
▲対象が垂直な場合は、角度から高さを算出できる
 
他にも、距離と角度が測れることで、屋根の斜面の長さを測定することも可能になっています(私は使いませんが)。
 
 
▲傾斜のある対象物も測定できる
 
▲DISTO D510の機能を紹介する動画
 
上の動画ではレーザー距離計が三脚にセットされていますが、それが可能なのは本体裏面に三脚穴があるから。

三脚を使用してある程度高精度な間接測定をする場合は、専用の三脚アダプタ「DISTO-FTA360」を使うと良さそうです(私はまだ持っていません)。
 
 
▲本体裏面(三脚穴は測量用では無くカメラ用の三脚に適合)
 
三脚穴の近くにある「いかにも起き上がりそうな」部品は多機能エンドピースと呼ばれており、本体に対して直角の状態と平行な状態の2つのポジションで使用できます。
 
本体と直角にすると、四角い柱や塀の縁などに引っかけて測距ができます。
 
 
▲多機能エンドピース(直角に起こした状態)
 
エンドピースを完全に広げた状態にしておくと、三脚無しで高さの測定をするときは、壁や樹木等にエンドピースを当てて本体を上下に振る(本体を振るときの支点として使う)ことで、簡易的な測定時でも、多少は精度を上げることが出来ます。
 
エンドピースを水平にしたときは、自動的にその先端が測定の基準に設定されます。
 
 
▲多機能エンドピース(水平にした状態)
 
古いレーザー距離計「A6」にもBluetoothは搭載されていて、部屋の寸法を測るときはノートPCでExcelに測定値を転送して便利に使わせてもらいましたが、D510もBluetooth Smartに対応したiOSデバイスやAndroidデバイスに測定値を転送できます。
 
iOS用にはLeica DISTO SketchというソフトがAppストアにあり(無料)、このソフトで簡単な図面を書いて寸法を転送、図面に入力したり、iPhoneで撮影した写真の中にラインを引いて長さを入力することが出来ます。
 
 
メーカーサイトにはD510のマニュアル(PDF形式。日本語版あり)が公開されているので、興味のある方は是非ご覧下さい。

操作はきわめて単純ですし、画面にある程度の指示が出るので、それほど困ることは無いと思います。
ただし、「このアイコンなんだっけ?」と思うことが時々あるので、アイコンについてはある程度暗記が必要かも知れません。
 
また、売りである角度センサーも、本体の前端と後端を通る直線を回転軸とした傾きは測定できません。
つまり、レーザー距離計を水平にセットした状態で、前端(または後端)を持ち上げたり下げたりする方向の角度は測定できますが、角度センサーを使う測定中に本体を横に傾けると、エラーが表示されます。
 
もう一つの欠点は、Bluetoothの規格。対応規格がBluetooth Smart(Bluetooth 4.0)のみなので、旧型のスマホなどとは接続出来ません。

我が家のiPhone4SやiPad miniは問題なくつながりましたが、2011年製のAndroidタブレットでは無理でした。
(iPhoneなら4S以降、Androidなら4.3以降でないと使えない。)
 
付属のケースもあまり気に入りません。
背面にベルトループがあるのですが、(A6のケースもそうでしたが)下端がベルクロ留めになっているため、外れてしまうのではないかと不安になります(今までにそうなったことはありませんが、ベルトに付けるポーチのストラップは、しっかり固定される仕組みになっていて欲しいと個人的に思っています)。
 
 
▲D510に付属する専用ケース裏のベルトループ
 
そこで、今回D510は米軍の発煙手榴弾用ポーチに入れることにしました。
 
 
▲米軍のポーチにD510を入れた様子
 
 
▲米軍のポーチにD510を入れた様子
 
このベルトループは上端ががっちり縫い付けられ、下端はしっかりしたスナップ留めになっています。
 
 
▲米軍のポーチ裏面のループ
 
米軍のポーチだと、バックパックのデイジーチェーン等にがっちり固定できるので、崖や滝、樹木や送電線鉄塔の高さ等を測る(何のために?という突っ込みは無しで)ために山に持っていくのも簡単。
 
従来のA6では、屋外でレーザードットが見えなかったり、明るすぎてレーザー受光部がレーザードットを検知できずにエラーが出ていましたが、D510では角度センサーだけで高さを測れるので、下端さえレーザーで測距出来れば問題ありません。(そもそも高さを測る必要性を感じる人はまずいないと思いますが)。
 
なお、Leica Geosystems社からは、最低限の機能に絞ったレーザー距離計(Bluetoothは搭載)D110が2万円台前半で販売される予定(2014年6月現在)なので、「カメラや角度計が不要、とにかく距離だけ正確に測れれば良い」という方は、そちらをお勧めします。