播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

掃海艇一般公開@阪神基地隊

神戸市東灘区にある海上自衛隊阪神基地隊では、基本的に毎月2回(諸事情によりまったく公開がない月もあれば、1回だけ公開される月もある)、隔週の日曜に艦艇の一般公開を行っています。
 
阪神基地隊のホームページに詳細が書かれていますので、興味のある方はそちらをご覧下さい。
 
阪神基地隊は、阪神高速5号湾岸線の魚崎浜出入口がある人口島の南島隅にあります。
 
▲阪神基地隊の位置
 
Googleマップで阪神基地隊の位置を見るには、以下のURLをクリック。
 
公共交通機関を使用した一般的な交通アクセスは、JR住吉駅または摂津本山駅から神戸市バス(住吉駅の場合は35系統、摂津本山駅の場合はあ34系統)に乗り、魚崎車庫前バス停で下車し、そこから約800m徒歩で移動するというもの。
 
バスの時間と、掃海艇一般公開の開始時間はまったく対応していません。

JRを利用されている方は、両方のバス停の時刻表を見比べ、一般公開に便利な方の駅を利用することをお勧めします。
 
ちなみに、各バス停から魚崎車庫前バス停までは約15分。
阪神基地隊はそこから徒歩800mですので、さらに約10分、合計25分かかります。
 
住吉駅からバスに乗る場合は、駅から出たら南へ進み、国道2号線沿いにあるキララ住吉というショッピングモール前の屋根付きのバス停を利用します。
 
JR住吉駅前バス停の位置(Googleマップで表示)
http://goo.gl/maps/rwJfs
↑キララ住吉の南側
 
摂津本山駅の場合は駅から北へ出て、すぐに出会う太い道路を渡らずに右へ曲がると、スターバックスの前を通り過ぎたところにバス停があります。
 
JR本山駅前バス停の位置(Googleマップで表示)
http://goo.gl/maps/PoZio
↑ガーデンライフ岡本の北側

今日は14時からの一般公開(掃海艇つのしま)に行くことにしていたので、それに合うバスを神戸市バスのサイトにあるバス停時刻表で探すと、住吉駅前から出るバスにはちょうど良いのがなく、摂津本山のバス停からはいい時間のバスが出ていることが分かりました。
 
というわけで、JRで摂津本山駅へ向かい、そこから市バスと徒歩で阪神基地隊へ行くことにしました。
 
11:57
新快速でJR姫路駅を出発。
 
12:36
三ノ宮駅に到着。新快速を降りて、向かいのホームに止まっている長尾行きの普通電車に乗り換えます。
 
12:37
普通電車が三ノ宮駅を出発。
 
12:46
摂津本山駅に到着。
 
乗りたいバスは13:15にJR本山駅前バス停を出発する34系統の神戸市バスです。
時間に余裕があるので、駅前のファストフード店でのんびり昼食。
 
13:15
時間通りにやってきたバスに乗車。
 
13:30
魚崎車庫前バス停に到着。運賃は¥210。
このバスの終点が魚崎車庫前でした。
 
ここからは阪神高速5号湾岸線の高架沿いに東へ進み、下の写真の場所で右へ曲がります。
バス停からこの角までは、徒歩約3分。
 
 
▲阪神基地隊への案内表示のある角を曲がる
 
13:37
先ほどの角を曲がってさらに歩くこと4分。阪神基地隊に到着しました。
 
 
▲阪神基地隊
 
受け付け開始が13:45からなので、まだ中には入れません。
他の見学者十数人が門の向かい側の日陰で待っていました。
 
13:45
門の脇に立っていた隊員さんの案内で、みんなでぞろぞろと受付場所へ向かいます。
 
今回の見学者は20名以上いましたが、自家用車が2台ほど、自転車で来た人が2~3名、残りは徒歩でした。
 
門を入って右側の高い建物の1階ロビーが受付になっていました。
住所、氏名、年齢、職業(自家用車で来た人は車のナンバーも)を用紙に記入し、14:00の見学開始までパイプ椅子に座って待機します。

トイレも使わせてもらうことが出来たので、助かりました。
 
14:00
案内係の隊員さんの後に続いて、掃海艇つのしまが止まっている岸壁へ向かいます。
 
 
▲掃海艇つのしま(MSC-683)
 
艦橋の上には、「WELCOME」を意味する信号旗がはためいていました。
「W」の旗の上に「白-青-白」のペナントがありますが、これは後に続く信号旗が暗号文や特殊な表現ではなく、「文字通りに読める」ことを示すものです。
 
▲掃海艇つのしまに掲げられていた信号旗と、それぞれの旗が意味するアルファベット
 
掃海艇つのしまがどのような船なのかは、以下の説明をご覧頂ければよく分かると思います。
 
基準排水量: 510.0トン
全長: 54.00メートル
最大幅: 9.40メートル
深さ: 4.20メートル
主機: ディーゼル機関2基・2軸、補助電気推進130キロワットx2
速力: 14ノット(時速約26km)
乗員: 約37名
兵装: 20ミリ機関砲x1、掃海掃討装置1式

掃海艇「つのしま」乗艇記念
 本日は、掃海艇「つのしま」に、ようこそ御来艇くださいました。乗員一同心から歓迎いたします。
 本艇は、平成12年3月に「すがしま型」掃海艇の3番艇として、就役いたしました。
 機雷を捜索、処分するため新型の情報処理装置、機雷探知機、機雷処分具及び自動操艦装置を搭載しています。また、作戦海面における静粛化(音響管制)の強化を図るため、電気推進器を2基搭載しています。掃海艇は護衛艦や一般商船とは違って、磁気を感じて爆発する機雷(磁気機雷)から艇の安全を確保するため、船体は、木製、エンジン等はアルミ合金等を使用することにより、磁気を帯びないような設計となっています。
 掃海部隊の主な任務は、わが国の平和と独立を守り国の安全を保つため、我が国周辺海域において、海上交通を保護する事にあります。本艇をはじめとする各掃海部隊の艦艇は、港湾及び航路に敷設された機雷を排除し、通航船舶の安全を確保するために日夜訓練に励んでおります。
つのしま艇長
出典:海上自衛隊 掃海艇 つのしま のパンフレット
 
14:02
艇の中央付近にかけられた舷梯から乗艇しました。
 
 
▲つのしまの舷梯
 
見学者が多かった(20名以上いた)ため、2つのグループに分かれて見学することになりました。
私より前に乗艇した方々は前甲板から見学、私とその後に続く方々は後甲板から見学することに。
 
乗艇位置から左右に2本並んだ煙突の間を通って艦尾へ進み、ラッタルで1段下ったところに後甲板があります。
 
まずは係の隊員さんに写真に撮るとマズイものがあるかどうかを確認すると、「見られて問題のある部分は公開していませんので、どんどん撮って頂いてかまいません」とのこと。
これで安心して写真が撮れます。
 
後甲板は、掃海艇の主任務である機雷の処分に必要な資機材がぎっしりと詰まった空間です。
 
 
▲後甲板の様子
 
左舷前方は機雷処分具PAP104(PAPはパップと読む)の格納庫とPAP104に搭載するための爆雷を保管する空間。
 
左舷後部には掃討用クレーンがあり、右舷後部には掃海浮標、後部中央には掃海具巻揚装置3形が鎮座しています。
 
 
▲後甲板を上から見下ろす(左端が掃海浮標、右端が掃討用クレーン、中央が掃海具巻揚装置3形)
 
掃海艇が機雷をどうやって処分するのか、まずは後甲板の中央に鎮座まします掃海具巻揚装置3形を使う方法の概略図を以下に載せておきます。
 
 
 
▲O型基本掃海の概念図(左)と係維式機雷(右)
 
掃海艇から強力なカッターが付いているワイヤーを2本垂らし、そのまま船を前進させることで、海中の機雷を係維しているワイヤーを切断し、機雷を浮上させた後、20mm機関砲で射撃して機雷を爆発させるという方法です。
 
ワイヤーを垂らして船を進めると、ワイヤーは船の後方に伸びるだけですし、後ろに行くほど深く沈んでしまいます。
 
そこで、水流を受けると左右へ広がろうとする装置「展開器」を使ってワイヤーの後端を左右に広げ、後端が沈まないように掃海浮標を使うというわけです。
 
船に近い部分のワイヤーを展開器のある部分と同じ深さまで沈めるために、沈降器も使われています。
 
この方法で処分できるのは、係維式機雷と呼ばれるもの。
 
係維式機雷の機雷部分は水に浮くものですが、海底に錘(おもり)を置き、機雷が水面に出ないような長さのワイヤーで機雷と錘がつながれているのです(上図参照)。
つまり、機雷は海面近くの水中に潜んでいます。
 
錘と機雷をつなぐワイヤーを切れば機雷が浮上してくるので、上に書いたような方法で処理できるというわけ。
 
PAP104を使う処分方法は2種類。

1つは、上に書いた係維式機雷のワイヤーを、遠隔操作したPAP104のカッターで切断するというもの。
 
もう一つは、PAP104がお腹に抱えている爆雷を、海底に設置された沈底機雷のそばに落として誘爆させるというもの。
 
PAP104の遠隔操作(掃海艇とPAP104間のデータのやりとり)には、光ファイバーが使用されています。
 
 

▲機雷処分具PAP104(左下の小さな物体が爆雷(ダミー))
 
14:13
一通り後甲板を見終わり、前甲板に向かいましたが、もう一方のグループがまだ見学中で混雑するため、先に艦橋を見学することになりました。
 
後甲板からラッタルで乗艇位置へ戻り、さらにラッタルで1段上ると、信号旗を収納する箱がある空間に出て、その向こうに艦橋があります。
 
 
▲掃海艇つのしまの艦橋内部の様子
 
護衛艦の艦橋と比べるとかなり狭いですが、機器の雰囲気も護衛艦とは全然違います。
 
艦橋左右のウィングにある双眼鏡も自由に覗いて良いということだったので、光学機器が好きな私は喜んで双眼鏡を体験。
 
 
▲65式8cm双眼鏡
 
距離測定/目標のサイズ測定用のレティクル(目盛り)も見えるのですが、まったく視界の邪魔にならないもので、色合いも極めて自然。
やはり高品質な双眼鏡は違います。
 
艦橋の前にも広い空間があるため、艦橋前面の窓に付いているワイパーまでしっかり観察できました。
漁船だと旋回窓が多いですが、自衛隊の船ではワイパーが多数派ですね。
 
 
▲艦橋前面の窓に付いている電動ウィンドワイパ
 
艦橋とその周辺も存分に見学出来たので、ラッタルで1段下って乗艇位置に戻り、右舷の通路を艦首の方へ進んで前甲板へ向かいました。
 
14:24
前甲板に到着。
 
角度を付けてかっこよくポージングされた20mm機関砲に、見学者の視線は釘付け。
 
 
▲前甲板の様子
 
 
▲前甲板から艦橋を見る
 
話を聞くと、案内をしてくれていた隊員さんがこの20mm機関砲の射手とのこと。
 
発射速度は毎分450発。
隊員さんによると照準が目視のみのため、有効射程(狙って当たる距離)は2キロ程度だそうです。
 
嬉しいことに、20mm機関砲の動作デモを見せてくれるとのこと。
担当の射手ですから、機関砲の操作は手早い。ささっと電源を入れて使える状態にし、実際にスイッチを入れて引き金(レバー)を引き、銃身を回転させて見せてくれました。
 
機関砲は専用の砲架に固定されているため、射撃時の振動はほとんどないそうですが、音はすさまじいとのことでした。
必ず耳栓をするそうですが、それでも耳が痛くなるのだとか。
 
 
▲20mm機関砲
 
14:35
前甲板の見学(といっても20mm機関砲について色々聞いただけですが)を堪能しましたが、見学終了時間の14:45まではまだ10分あったので、最後にまた一通り艇内をうろうろ。
 
14:45
時間になったので下艇。
人数が揃っていることが確認され、解散となりました。
 
 
▲帰路に就く見学者(奥の建物の1階が受付け)
掃海艇つのしまで撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年6月8日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/hanshinkichitai20140608/virtualtour.html
 
5ヶ所で撮影していますので、左上のリストで切り替えてご覧下さい。
15:05
魚崎車庫前バス停に到着。
 
15:08
35系統阪神御影南口行のバスに乗車。
 
15:20
行き先は阪神御影ですが、途中でJR住吉駅前を通るので、そこで下車します。
運賃は¥210。
 
15:25
網干行きの快速電車で住吉駅を出発。
 
15:37
神戸駅で下車し、向かいのホームで新快速電車を待ちます。
 
15:40
新快速で神戸駅を出発。
 
16:16
姫路駅に到着しました。