播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

伊丹で飛行機見物と荒木村重の有岡城跡見学

乗り物、特に航空機や護衛艦が好きで一般公開イベントに出かけたりしていますが、最近は航空機関系を見に行っていません。
 
久しぶりに飛行機の姿と爆音を味わいたくなった(※)ので、近場で飛行機を間近に見られそうな所ということで検索すると、伊丹空港近くの川の土手が良いという情報を見つけました。
※毎年こどもの日に開催されている米海兵隊岩国基地のフレンドシップデー(戦闘機の大迫力を体感できる)は、昨年は米軍の予算の都合で開催無し。今年は開催してくれますが、飛行イベントは無し。
 
自宅から2時間もかからず行ける場所なので、出かけることにしました。
場所は、伊丹空港東側の千里川土手。
 
私が住む姫路から楽に行く方法は、JR姫路駅から新快速で大阪駅へ行き、阪急宝塚本線の普通電車に乗り換えて曽根駅(姫路市内にも同名の駅がありますから、経路検索の際は要注意)で下車する方法。
乗り換え回数が1度で済みますし、JRの新快速は速い。
 
阪急の曽根駅から現地までは、わかりやすい幹線道路沿いのルートで2km強。徒歩で行けない距離ではありませんが、時間がかかって不便です。
 
ありがたいことに、阪急曽根駅の北側高架下には、時間制料金のレンタサイクルがあります。2時間までなら¥110、それ以上で4時間までなら¥210、それ以上だと¥310。
そこで自転車を借り、千里川の土手へ向かうことにしました。
 
自転車を借りるためには身分証明書が必要なので、お忘れなく。
運転免許証があれば問題ありませんが、免許をお持ちでない方は、他にどんな証明書が使えるのか、阪急曽根駐輪センターまで予めお問い合わせください。
 
Googleマップで曽根駅から土手へのルートを調べると、住宅街の中の細い道を案内されますが、非常に分かりにくそう。
そのため、それを無視して一旦南へ下り、太い道路に出会ったら右折(西進)するシンプルなルートをたどりました。
 
 
▲阪急曽根駅から千里川土手までのルート概略図
 
阪急曽根駅から千里川土手までのもっとも単純なルートは、以下のURLでご覧頂けます。
http://yahoo.jp/CGLAz3
 
阪神高速をくぐってしばらく西へ進むと、左手にサンクスが見えます(飲み物や食べ物の入手。お手洗いはここが拠点になるのかな。お手洗いの利用だけというのは、お店の迷惑になるのでやめるべきでしょう)。そうしたら、目的の千里川はもうすぐ。
 
阪急伊丹駅のホームや、千里川土手までの道中でも、着陸してくる航空機の音や姿が堪能できますよ。
 
後は、橋の手前(橋の東)で右折して砂利道へ入るか、橋を渡ってから右折して砂利道へ入るかを選ばないといけません。
 
前者は空港が川の向こうに見える(空港から離れますが、川幅は20m程度です)ため、あまり人気がありません。そのおかげで、比較的のんびり過ごせますし、撮影場所の確保も簡単。
 
後者はフェンスの向こうがすぐ空港という好条件ですが、人が多いです。周りの人たちと一緒に興奮を味わいながら飛行機を見るなら、こちらがお勧め。
空港内を撮影しようと思うとフェンスが映り込んでしまうため、写真撮影が目的の方には不向きかな。
 
反対側の土手に移動するには、いったん幹線道路まで戻る必要があるので面倒です。
 
 
▲千里川西側土手から空港内を見るとこうなる
 
 
▲千里川西側土手の様子
 
高性能なレンズをお持ちの写真好きの方なら、川の東側の土手で良いと思います。かなり自由に撮影場所を選べますし、西側の土手より若干高いため、西側の見物客の頭やフェンス越しに滑走路や航空機を写すことが出来ます。
 
私は単純に人が多い場所がいやだったので、東側の土手に陣取ることにしました。
 
 
▲千里川土手(東側)の様子
 
写真にも写っていますが、自転車や原付で来られる人が多いです。車で来ても駐車場がありませんから。
 
駅からここへ来る途中、千里川に近づくにつれて路上駐車している車が多くなっていましたが、高い駐車料金と違反点数を覚悟できる方以外にはお勧めできません。そもそも、周辺住民に多大な迷惑がかかります。
 
場所やアクセスについての説明はこれくらいにして、この土手でどんな光景が見られるのかを紹介します。
下の動画をご覧下さい。(私が撮影したものではありません)
 

とにかく大迫力なんです。
飛行機好きじゃなくても、この迫力は楽しいのではないでしょうか。
 
5~15分に1便といった感じで航空機が下りてきます。
ただ、多くはエンブラエルE170、ボンバルディアCRJ、ボンバルディアDH8といった小型機で、32Rに着陸します。
伊丹空港には大型機用の32Lと小型機用の32R滑走路が平行して並んでおり、4~5便に1便ほどの割合で下りてくる大型機は32Lに着陸します。

32Lは千里川土手近くまで伸びているため、上の動画のような大迫力の着陸の様子を見られるわけです。
32Rの手前端は空港の中程にあるため、小型機の着陸の様子はほとんど見えません。
 
ちなみに、滑走路名の数字2桁は、その滑走路が向いている方角の1の位を省略したもの。
つまり、32は方位320(北西)を向いているという意味で、LとRは文字通り左と右を表します。

逆向きに飛行機が着陸・離陸する場合は、方位が180度変わるので14Lと14Rになります。逆から見ると左右が入れ替わるため、32Lは14R、32Rは14Lになります。
 
今回はパノラマ撮影機材を持っていったので、着陸する航空機を撮影してみました。

下は、ANAのボーイング787が頭上を通り過ぎるタイミングで撮影したパノラマです。
滑走路を拡大して見ると、頭上を通過したこの787が着陸しているのが見えます。

まずは頭上の787を撮影し、それから周囲の様子を撮影したため、他の見物客が滑走路の方を向いてしまっていますが、大目に見てやってください。
 
 
千里川東側の土手で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年5月4日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/itami20140504/virtualtour.html

西側土手の人たちは、多くが撮影を目的とはしていないらしく、撮影機材無しで純粋に飛行機の迫力を楽しんでいる様子。
西側の土手には下のような看板がありましたが、突風は感じませんでした。
 
 
▲西側土手にある恐ろしげな看板
 
それに対し、東側の人たちは撮影に夢中。

もちろん、伊丹空港から離陸する旅客機も見られます。
滑走路南東へ来た旅客機は、おしりを我々の方に向けて待機。離陸許可が出たら出力を一気に上げて飛び立っていくのですが、滑走開始時のドゴオオオっというエンジン音がまたいいんです。
 
迫力があるとはいっても民間の旅客機なので、軍用機と違ってかなり静かです。
航空ショーで戦闘機の爆音に慣れている方にとっては、「こんなに近いのにこんなに静かなのか!」と逆に驚かれると思いますが、飛行機の音に慣れていない方、特に子供さんにとっては大きな音かも知れません。
 
単なる土手で、飛行機の見学施設というわけでもないため、雨風をしのぐ施設やベンチ、トイレ、自販機などは一切ありません。

子供さんを連れて行かれる場合は、お手洗いなどを済ませた万全の状態で行くことをお勧めします。
 
いつ、どの機体が下りてくるのかを知るために、私はiPhoneアプリの「Flightradar24 Pro(¥300)」に「Arrivals & Dep.(¥200)」プラグインを追加したものを利用しました。
 
鉄道と違って航空路線は時間がそれほど厳密ではありませんが、ある程度の目安として使えます。
 

 
飛行機を十分に堪能したので帰ろうと思いましたが、せっかく伊丹に来たし、ちょうど大河ドラマ「軍師官兵衛」で荒木村重が謀反を起こそうとしていたタイミングなので、JR伊丹駅前にある荒木村重の居城「有岡城」の跡を見に行くことにしました。
 
レンタサイクルで阪急曽根駅へ戻り、阪急電車で梅田へ。
阪急梅田駅からJR大阪駅へ移動し、福知山線に乗車。
 
JR伊丹駅は、伊丹駐屯地や千僧駐屯地のイベントに行くために利用しているため、なじみのある駅です。
しかし、駅前に城跡があるなんて知りませんでした。
 
伊丹駅の改札を出て左へ進むと、「有岡城跡→」と書かれた案内がエスカレーターにあったので、それに従って下りると、いつも自衛隊のシャトルバスを待っている場所に来ました。

そうか、私は有岡城跡のすぐ横で自衛隊のバスを待っていたのか。
 
 
▲伊丹駅前のエスカレーター(乗り口に有岡城跡への矢印がある)
 
 
 
▲有岡城跡の入口
 
どんな場所なんだろうとワクワクしながら石段を登ると、小さな公園がありました。
 
 
 
▲有岡城跡
 
これだけです。
上の写真の左手前に礎石建物跡と井戸跡、左奥には当時の石垣があって、左側の土塁は当時のもの。
 
 
 
 
▲礎石建物跡と井戸跡
 
周囲が開発されてしまい、ほとんど城の遺構は残っていないようです。
有岡城跡とされている場所の土塁は植物が生い茂っていますが、その南側の公園のような場所に残る土塁跡はきれいに保たれています。
 
 
 
 
▲有岡城跡南側の土塁跡(子供が立っている場所は堀跡)
 
伊丹駅の南側には荒村寺(こうそんじ)という荒木村重の名前にちなんだお寺があるので、見学に行ってみましたが、入れそうになかったので駅へ引き返しました。
 
 
▲荒村寺
 
城跡は5分で見終わったし、荒村寺は見られなかったし滞在時間15分で伊丹を離れるのももったいないので、以前有岡城について調べたときのことを思い出し、北の方の神社に土塁が残っているという記憶を元に、Googleで検索。
 
伊丹駅から1kmほど離れた猪名野神社がその神社だと分かったので、伊丹駅南側にあるレンタサイクルで自転車を借り、猪名野神社へ行くことにしました。
 
伊丹駅のレンタサイクルは、時間制ではなく1日借りると¥310。
 
 
▲JR伊丹駅から猪名野神社までのルート概略図
 
上のルートは、以下のURLで詳細をご覧頂けます。
http://yahoo.jp/CGLAz3
 
伊丹の市街地は綺麗に整備されていて、自転車でのんびり走るには最適。
上のルートは最短距離を示していますが、実際は昔ながらの家並みが残っているところがあったりしたため、寄り道をしながら神社へ向かいました。
 
 
▲猪名野神社参道入口
 
 
▲猪名野神社拝殿
 
この神社のある場所は、かつて有岡城の岸の砦があったそうです。
 
国指定史跡 有岡城 岸の砦跡
 有岡城は、伊丹台地の東縁の高台を巧みに利用した平城である。侍町、城下町の周囲を土塁と堀で囲み、町ぐるみを城塞化した惣構(そうがまえ)構造で、南北千七百メートル、東西八百メートルの範囲に及んでいる。要所には、岸の砦(とりで)、上(じょうろう)塚砦、鵯(ひよどり)塚砦が築かれていた。
 砦のうち有岡城惣構の北端に設けられたのが、岸の砦である。位置的に見て猪名野神社境内にその場所が推定されている。境内には土塁跡・堀跡が残されており、往時を偲ぶことができる。
 天正七年(一五七九)、織田信長の有岡城攻めのとき、荒木村重の重臣渡辺勘大夫が守っていた。
平成五年三月一日
 伊丹市教育委員会
(出典:猪名野神社参道の看板)
 
立派な拝殿を取り囲むように大地主神社、稲荷神社、護国神社、愛宕神社、佐田彦神社、厳島神社、天満神社、新宮神社があり、本殿の裏には相殿社(貴布弥神社、塞神社、抜戸神社、熊野神社、五桂皇子神社、立田神社)があります。
 
拝殿の左奥に、土塁が残っていました。
 
 
▲岸の砦の土塁跡
 
堀跡がどれだったのか分かりませんが、一通り猪名野神社見学を終え、往路とは若干道を変えて街並みを楽しみながら伊丹駅へ戻りました。