今まで数ヶ月間、土日は家の事情で出かけられませんでしたが、ようやく落ち着いてきたので、久しぶりに山へ出かけることにしました。
完全に体が鈍っているので、暖かい低山をのんびり歩くことにしましたが、行き先を思いつきません。
朝、お風呂の中で防水タブレットを使っていろんな方々の山行記録を見ていたら、「山登りを楽しもう!」というサイト(http://www.ne.jp/asahi/walking/joy/index.htm)の管理人さんご夫妻が上郡アルプスなるものを歩かれていて、よく見ると私も以前歩いたことのある生駒山から縦走路が伸び、馬蹄型に周回できるようにコースが設定されています。
このくらいのルートなら、今の私でも歩けるだろうと思い、急いでお風呂から出て出発。
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「上郡」
上の地図内で括弧書きの数字がある場所は、そこで撮影した360度パノラマ(低画質の簡易版)をご覧頂けます。
以下のURLをクリックすると、まずは上の地図内(1)の場所(馬の蹄跡の南にある岩場)から撮影したパノラマが開き、パノラマ画面の左上にあるリストから他の場所のパノラマに切り替えて閲覧出来ます。
8:45
姫路市街の自宅を出発。
姫路市街の自宅を出発。
国道2号線(姫路バイパス、太子竜野バイパス)を西進し、バイパス終点からも国道2号線を延々と西へ進みます。
JR有年(うね)駅の先にある「有年原」交差点を右折して国道373号線へ入り、千種川沿いに北進。
治水ヒューム管工業のすぐ先にある「あゆみ橋東詰」交差点を左折して県道5号線に入り、公園の先で「上郡駅→」の標識のある分岐で、上郡駅方面へ曲がります。
「山野里」交差点を過ぎると左側にコープがあります。コープを超えてすぐの信号を左折すると、突き当り(実際は細い道が奥へ延びる交差点です)が今回の上郡アルプスの一部である生駒山登山口。
姫路市街から生駒山登山口までの道順は、以下の通りです(ルートラボ)。
Googleマップを使えば、ストリートビューで登山口を見ることが出来るので、事前に道の様子を下見することもできます。
▲登山口の位置をGoogleマップでご覧頂く場合のURL
9:45
生駒山登山口に到着。
お地蔵さんの隣に車を2台ほど止められる空間があるので、そこに車を置きました。
生駒山登山口に到着。
お地蔵さんの隣に車を2台ほど止められる空間があるので、そこに車を置きました。
ここには、生駒山山頂にあった駒山城についての案内板があります。
上郡町指定文化財
駒山城跡 上郡町山野里・井上
標高263mの駒山山頂にあり、上郡の市街地を一望の下に見渡すことができます。南の尾根づたいと東の麓からの登山道が設けられています。
南北朝時代(14世紀)の築城とも伝えられていますが、現在残る縄張りは、戦国時代(16世紀)の後半頃のものとおもわれます。二つの尾根を中心に、曲輪跡や石積・土塁・堀切・井戸跡などが残っており、瓦や備前焼等の戦国時代の遺物も採集されています。
瓦や石積など、後の近世城郭につながる特徴を持つ中世の山城として、町内でも数少ない貴重な城跡です。
上郡町
上郡町教育委員会
▲登山口の案内板の内容
なお、駒山城については、「播磨鑑」に以下のように記載されています。
駒山城 安室郷山里村ニアリ上郡村ノ西也 城主ハ長船越中守(律師則祐ノ居城滑石ノ上ニ馬蹄ノ跡アリ)其間六七丁隔テ竹萬村ニ小田吉田内海片島ナト云者有越中守ト不和也度々羽山ノ邊ニ挑戦シ駒山ヲ攻ム竹萬利アラス苔縄村ニ高見治部ト云浪人有軍学ニ長ス小田等是ヲ頼テ山ツタヒニ駒山ニ入リ白晝ニ火ヲ放タシム 或説ニ圓心ノ家臣内海十郎守ルト
「播磨鑑」 赤穂郡之部 P32 明治42年11月25日発行 発行者 播磨史談会
9:52
準備を整えて出発...しましたが、少し登ったところで忘れ物に気づいてまた車へ。
準備を整えて出発...しましたが、少し登ったところで忘れ物に気づいてまた車へ。
9:56
今度こそ出発。
今度こそ出発。
2006年6月に一度歩いた尾根ですが、当時の記憶は一片のかけらも残さず消失していて、初めて歩くような気分。
生駒山山頂まで続くこの尾根は、全体的になだらかで歩きやすく、ある程度の標高まで上がれば、振り返って南方面の景色を楽しめるお手軽なルート。
両側が自然林の区間もあれば、左側だけ植林になっている区間もあります。
ところどころに岩場があって、これがいいアクセントになっています。
10:08
「馬の蹄跡」の看板が立つ岩場に到着(地図中「馬の蹄跡」)。
「馬の蹄跡」の看板が立つ岩場に到着(地図中「馬の蹄跡」)。
実際に馬の蹄で岩がくぼむはずがなく、単なる自然現象によるものですが、科学が発達していない時代の人々はいろいろと考えるものです。
10:22
2006年に歩いた際、下山に利用した井上への道の分岐に出会いました(地図中「井上分岐・鉄塔跡」)。
2006年に歩いた際、下山に利用した井上への道の分岐に出会いました(地図中「井上分岐・鉄塔跡」)。
その分岐のすぐ先には、古い地形図に記載されている送電線を支えていた鉄塔のコンクリート基礎がしっかり残っています。
10:25
「荷置岩」と書かれた看板のある四角い岩のある岩場に出会いました。
やっぱりイワイワした場所を歩くのは楽しい。
「荷置岩」と書かれた看板のある四角い岩のある岩場に出会いました。
やっぱりイワイワした場所を歩くのは楽しい。
10:30
右手に丸太階段の道が分岐しているのに出会いました。
右手に丸太階段の道が分岐しているのに出会いました。
道は右手のピークの左を巻くようにまっすぐ続いていますが、せっかくなので少しでも高いところへ上がってみます。
丸太階段を登りきったところは「本丸跡」(地図中の260m標高点)。
広い平坦な場所で、城があった当時は大展望が楽しめたのでしょうが、今は木々に囲まれていて展望はありません。
広い平坦な場所で、城があった当時は大展望が楽しめたのでしょうが、今は木々に囲まれていて展望はありません。
北東を見ると、複数の削平地が階段状に並んでいることが確認できました。
丸太階段を下って登山道に引き返し、本丸跡の南側を巻くようにつけられた登山道をさらに進みます。
(注:本丸跡の最奥からも登山道に復帰できます。)
本丸跡の先にある鞍部は雑然とした雰囲気ですが、道は土塁のようになっていて、右側には空堀跡と石積みがしっかりと残っていました。
10:37
「二の丸跡」に来ました(地図中「二の丸跡」)。
「二の丸跡」に来ました(地図中「二の丸跡」)。
ここも何段もの削平地がはっきりとわかる場所ですが、本丸跡同様、木々に囲まれて展望は楽しめません。
ただ、二の丸跡の南にはベンチがあって、そこに座ると上郡市街地と千種川を眺められるようになっています。
前回はパノラマ撮影の技術がなく、複数の写真をつないだ簡易的なパノラマ写真をブログに掲載しましたが、当時と比べて格段にパノラマ技術が進歩しているので、今回は360度の全天球パノラマを撮影しました。
二の丸跡の南側で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2013年12月22日)
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kamigori20131222-1/virtualtour.html
今日は西側に伸びている尾根をたどって上郡アルプスを周回する予定なので、二の丸跡から北西へ進まないといけません。
11:05
縦走路を探して二の丸跡の周辺をウロウロすると、「二の丸跡」の看板の右奥に、小さな道標とトラロープがある道が見つかりました。
縦走路を探して二の丸跡の周辺をウロウロすると、「二の丸跡」の看板の右奥に、小さな道標とトラロープがある道が見つかりました。
二の丸跡からの下りは、ロープに頼らざるを得ないような急斜面。
斜面に階段状のステップが刻まれているところがあるなど、歩きやすくなるように工夫はされていました。
11:09
明確に残る堀切に出会いました(地図中「堀切」)。
ここには小さなプレートがあり、「はね上げ橋跡」と書かれていました。
明確に残る堀切に出会いました(地図中「堀切」)。
ここには小さなプレートがあり、「はね上げ橋跡」と書かれていました。
地形図の通りいったんはなだらかになりますが、鞍部の手前ではまた急な斜面になります。
11:17
二の丸跡と大鳥山の間にある鞍部に到着。
二の丸跡と大鳥山の間にある鞍部に到着。
大鳥山への登り返しもなかなかの急斜面です。
しかも、地形図の通り鞍部から山頂まで斜度はほとんど変わりません。
しかも、地形図の通り鞍部から山頂まで斜度はほとんど変わりません。
最初はシダのない区間でしたが、やがてシダが現れます。シダの区間が終わっても再びシダが現れますが、この2つ目のシダの区間を通過すれば、大鳥山の山頂です。
普通に足を上げただけでは登れず、えいやっと勢いを付けないと進めないところもありましたが、それは私の体重と荷物が重いからでしょう。
普通のハイカーさんなら、多少息は切れると思いますが、私ほど苦労せずに登れると思います。
普通のハイカーさんなら、多少息は切れると思いますが、私ほど苦労せずに登れると思います。
11:27
大鳥山山頂に到着(地図中「大鳥山」)。
大鳥山山頂に到着(地図中「大鳥山」)。
周囲の植物が刈り払われていて、大展望が楽しめます。
せっかくの展望地なので、再びパノラマ撮影を行い、それから昼食を食べることにしました。
せっかくの展望地なので、再びパノラマ撮影を行い、それから昼食を食べることにしました。
大鳥山山頂で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2013年12月22日)
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kamigori20131222-2/virtualtour.html
パノラマ撮影を終えた直後、北に見えていた雪雲の端がこの地域にもかかったらしく、雪が降り始めました。
カメラ自体は防滴ですが、レンズはそうもいかないので大急ぎでカメラとパノラマ運台・三脚を撤収。
そうこうしているうちに雪は止み、二の丸跡方面から男性二人組が登ってこられました。
私がフリーズドライのカレーうどんを食べるためにお湯を沸かしてうどんをゆでている間にお二人はお弁当を食べ終わり、私が食事をしている間に先に南へ向けて出発されました。
12:15
展望と熱々のカレーうどんを楽しみ、上郡アルプス周回を再開。
展望と熱々のカレーうどんを楽しみ、上郡アルプス周回を再開。
大鳥山山頂から南へ伸びる道の入り口には、小さな道標がぶら下がっていました。
今回の下山に使ったルートには小ピークがいくつもありますが、ピーク間は平坦で、ピークへの登り返しや下り始めは大半が急斜面。久しぶりの山歩きなので、途中で膝が痛くなったりしたときに備え、念のためストックを用意していました。幸い、膝痛はありませんでしたが、急斜面の上り下りでストックは大いに役立ってくれました。
今回の下山尾根で通過する小ピークはほとんどが好展望で、小ピークに出会う度に気分が良くなるのですが、どのピークも見える景色はあまり変わりません。しかし、良い景色を見るのが山歩きの目的の一つである私にとっては、開放感のある、景色の良い空間に度々出会えるのは嬉しい。
12:23
「パロディ北アルプス」と書かれたプレートのある小ピークに出会いました(地図中「パロディ北アルプスピーク」)。
「パロディ北アルプス」と書かれたプレートのある小ピークに出会いました(地図中「パロディ北アルプスピーク」)。
プレートには、この小ピークから見える山並みを北アルプスの名峰に見立てたイラストが描かれています。
12:30
「大観峰」と書かれたプレートの下がる小ピークを通過(地図中「大観峰」)。
ここも周囲の植物が刈り払われていて展望が良好です。
「大観峰」と書かれたプレートの下がる小ピークを通過(地図中「大観峰」)。
ここも周囲の植物が刈り払われていて展望が良好です。
12:36
大観峰から下っていると、登りの尾根で見たのと同様の送電線鉄塔跡地に出会いました(地図中「鉄塔跡」)。
大観峰から下っていると、登りの尾根で見たのと同様の送電線鉄塔跡地に出会いました(地図中「鉄塔跡」)。
12:46
「小美女平」と書かれたプレートの下がる小ピークに到着(地図中「小美女平」)。
「小美女平」と書かれたプレートの下がる小ピークに到着(地図中「小美女平」)。
ついつい今まで進んできた方向へまっすぐ進みそうになりますが、縦走路はここで左へ向きを変えます。
今まで進んできた方向に従ってまっすぐ進もうとすると、縦走路の方向を示す小さな道標に出会いますし、木が通せんぼをするように置かれていたり、間違えにくいようになっていました。
今まで進んできた方向に従ってまっすぐ進もうとすると、縦走路の方向を示す小さな道標に出会いますし、木が通せんぼをするように置かれていたり、間違えにくいようになっていました。
小美女平の先で縦走路は右へ折れ曲がります。
13:00
登山道の真ん中に大きな岩があるのに出会いました(地図中「関所岩」)。
「関所岩」と書かれた看板がありますが、いわれはよく分かりません。
登山道の真ん中に大きな岩があるのに出会いました(地図中「関所岩」)。
「関所岩」と書かれた看板がありますが、いわれはよく分かりません。
13:04
道が二股に分かれている分岐に出会いました(地図中「農場分岐」)。
縦走路から左へ道が分岐していますが、そちらへ進むと谷間にある農場へ出るようです。
道が二股に分かれている分岐に出会いました(地図中「農場分岐」)。
縦走路から左へ道が分岐していますが、そちらへ進むと谷間にある農場へ出るようです。
今回は縦走路の最後まで歩きたいので、分岐は無視して進みました。
この分岐から先では、道にシダが目立ってきます。
13:09
展望の良い四等三角点(点名:山野里)ピークに到着(地図中「羽山」)。
プレートには「羽山」と書かれていました。
展望の良い四等三角点(点名:山野里)ピークに到着(地図中「羽山」)。
プレートには「羽山」と書かれていました。
このピークの南側へ伸びる道の入口には「丹東公民館へ急坂 雑木の中道悪し 下山注意!!」
と書かれたプレートがぶら下がっています。
と書かれたプレートがぶら下がっています。
下りはじめはシダが足下に広がる雑木林の斜面で、腐葉土のような土のため歩きやすく、道が悪いとは思えません。
ところが、尾根道が左へ90度向きを変え、谷の中へ伸びていってから、先ほどのプレートの意味が分かるようになりました。
落ち葉が積もった谷間は道がはっきりせず、落ち葉の下に石や木の根、枝があって足を取られることもしばしば。
広い谷を下っていくと、進路を遮るように左右に伸びる浅い溝状の道に出会います。
それにぶつかったら、右へ折れて進みます。すると、小さな墓地の脇に出てきました。
それにぶつかったら、右へ折れて進みます。すると、小さな墓地の脇に出てきました。
13:32
墓地の下にある車道に下りてきました。
墓地の下にある車道に下りてきました。
ここからは車道を北東へ進めば、車を止めた登山口までは10分足らずです。