播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

加圧式ハイドレーションシステム:Hydration Engine

私は日常生活でも山歩き中でも大量に水分を摂るので、特に山歩き中は簡単に水が飲めるハイドレーションシステム、つまりバックパック内の袋に入れた水を、口元まで伸ばしたホースで飲むという道具を使っています。
大半のハイカーは水筒やペットボトルを使っているので、水を飲むためには立ち止まって水筒を取り出し、飲み終えたらまた片付けて行動再開というパターンになりますが、ハイドレーションシステムを使っていれば、歩きながらでも水を飲めるので非常に快適なのです。
 
しかし、ハイドレーションシステムには欠点が3つあります。
1つは手入れが面倒なこと、1つは水の残量が分からないこと、そして最後の1つは、水を飲むために体力が必要ということ。
 
長いストローで水を飲んでいるようなものなので、疲れてぜぇぜぇ言っているような状況では、ホースから水を吸い込むことすら辛い場合があるのです。
 
太ってきたせいか、パノラマ撮影機材等で荷物が重くなったせいか、以前は何とも思わなかったホースで水を飲むという行為が、辛く感じる機会が増えてきてしまいました。
 
いつものようにあちこちのアウトドア用品メーカーのサイトを見ていると、楽に水が飲めることを売りにしたハイドレーションシステムを見つけたので、試しに購入してみることにしました。
 
 
▲製品パッケージ(表)
 
 
▲製品パッケージ(裏)
 
製品名: Hydration Engine(ハイドレーション・エンジン)
メーカー: Geigerrig(アメリカ)
容量: 2リットル (3リットルバージョンもあります)
購入価格: $48.00 USD
購入先: REI.com(アメリカ)
 
通常、ハイドレーションシステムは水を入れるための袋(リザーバと言います)と、水を口元まで持ってくるためのホースから構成されています。
 
 
▲Hydration Engineのリザーバとホース
 
Hydration Engineのリザーバの口は大きく開くジッパータイプで、給水・排水、手入れが簡単。
 
 
▲リザーバの口は大きく開く
 
水が漏れるのを防ぐために、リザーバに水を入れた後は口を閉じて折り返し、プラスチック製の大きなクリップの溝に袋の口を滑り込ませます。
 
 
▲漏水防止のためのクリップ
 
飲み口には少し角度が付いていて、カバーなどは付いていません。
 
何かの拍子に水が出てくるのを防ぐため、ハイドレーションシステムの飲み口にはバルブがついていて、水の流れを止めることが出来ますが、この製品の場合、飲み口をひねって水流のON/OFFを切り替えます。
ひねるときに両手が必要なこのタイプのバルブは、個人的には好きではありません。
 
 
▲飲み口(ホースと飲み口の間の黒い部分がバルブ)
 
このホースの反対側は、クイックリリースタイプのソケットでリザーバにつなぎます。
簡単にホースをリザーバから取り外せるので、手入れや保管の際は非常に便利。
 
 
▲ホースとリザーバをつなぐ部分の様子
 
ここまでを見ると、単に手入れのしやすいハイドレーションシステムです。
が、この製品が他と違うのは、さらにもう一本ホースが付いていること。
 
 
▲リザーバ裏面と、もう一本のホース
 
このもう一本のホースは、リザーバ裏面のソケットに差し込んで使用します。
 
まるでポンプのようなゴム部品がホースに付いていますが、見た目の通り、これはポンプなのです。
リザーバは2層構造になっており、表面には水が入り、ポンプをつなぐ裏面の層には空気が送り込まれます。
 
 
 
▲Hydration Engine内を横から見た時の模式図
 
ホースを2本ともつなぎ、水を入れてバックパックにセットすると、下の写真のようになります。
 
 
▲バックパックにセットした状態
 
左肩にポンプ、右肩に水を飲むためのホースが来るようにしていますが、これはどちらでも良いと思います。
 
バックパックのホース用の穴は小さいので、ポンプを付けたままではホースが通りません。セットするときと片付けの時は、ゴムの球を取り外してからホースを通し、それからゴム球を取り付けます。
 
Hydration Engineをバックパックにセットしたら、(私の場合は)左肩のポンプを右手でシュコシュコと何回か握ります。
すると、前述したとおりリザーバの背面の空間に空気が入って膨らみ、水が入っている空間に圧力がかかります。
 
この状態でホース先端の飲み口を咥えると、吸い込まなくても水が出てくるわけです。
 
疲れて息が上がっている状態でも、飲み口を咥えれば水が出てくるため、楽に水が飲めるというのがこの製品の売りなのです。
 
2層に分かれているリザーバ内の一方に空気を入れ、水が入ったもう一方の空間を押しつぶして水に圧力をかける仕組みなので、水が減ってくると追加で空気を入れる必要があります。
 
そのため、飲み口を噛んでも水の出が悪くなってきたら、またポンプをシュコシュコと押してやらないといけませんが、一度空気を入れたらしばらくもつこともありますし、すぐに出が悪くなることもあります。大した手間ではないので私はさほど気にしませんが、人によっては面倒と感じるかも知れません。
 
使っていて気になるのは、水がリザーバ内に残っているのに、飲み口から水が出てこない現象が時々発生する点です。
 
2層になっていない通常のハイドレーションシステムでは、私は遭遇したことのない状況です。
 
そういう時は、バックパックを下ろしてHydration Engineを引っ張り出し、再度セットし直すか、飲み口を噛んで水が出るようになったか確認しながら、Hydration Engineに接触している荷物を反対側へ押すように動かしています。
 
ひょっとすると、空気の入れすぎや荷物に押されることで、隔壁が水の入っている空間を分断しているのかも知れません。
 
 
▲隔壁が水を入れる空間を分断している?
 
水が楽に飲めるという点は魅力的ですが、そのためにホースとポンプが追加されてかさばり、山歩きの最中に何度もポンプを握る必要があります。
 
万人にお勧めできる道具ではありませんが、私のようにホースから水を吸うのさえ辛いことがあるとか、他人とは違うものを使いたいという方には良いかも知れません。