播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

第34回 殿のグルメ対談(焼肉のむらや×本田商店)

本日は第34回 殿のグルメ対談に参加してきました。
 
 日程 2013年11月19日(火)
 時間 19:30~21:30(予定)
 場所 納屋工房(姫路市本町68番地 大手前第一ビル4階)
 参加費 一人¥1,580
 
今回の対談ゲストは、姫路市の網干で創業60年の焼肉店「のむらや」の3代目で、のむらやの2つ目の店舗「のむらや明石店」店長の野村博氏と、新酒鑑評会で何度も金賞を獲っている「米のささやき」が有名な「本田商店」の本田龍祐氏。
 
「のむらや」さんは「第1回殿のグルメ対談」のゲストで、今回は3年ぶり2回目の登場。
「本田商店」さんは、グルメ対談の登場回数が通算6回目(7回目かも)となる対談の大ベテラン。
 
定時少し過ぎで仕事を終えてそそくさと姫路へ帰り、対談会場に到着したのは19:25。
 
19:35
殿から「のむらや」さんについて簡単に説明があり、続いて本日の試食メニューである「レンガ」(殿のグループだけの通称)と呼ばれるブロック肉の紹介がありました。「切っても立つくらいの厚みがある。立てれば肉のビルディング。」との表現で参加者の期待が膨らみます。
 
19:40
のむらや明石店店長の野村博氏が登場。
 
▲殿と対談中ののむらや明石店店長、野村博氏(右)
 
殿と野村氏の出会いは、Twitterだったそうです。
殿のつぶやきに野村氏がよく絡んでいたちょうどその頃、殿が知り合いから「のむらや」さんへ連れて行って欲しいと言われてお店へ行ったのがきっかけ。
 
殿が「おまかせ」で注文したところ、いろいろなお肉が次から次へ登場し、しかも一品一品の量が多すぎず、(少人数だったのに)いろんなお肉を(しかも高品質)たくさん食べることが出来て感動したとのこと。
 
のむらやさんの営業方針の根底にあるのは、「お客様にお腹いっぱいになってもらいたい」という気持ちなので、おまかせを注文すると、良いお肉をお腹いっぱい食べられます(私も何度かおまかせをお願いしたことがありますが、毎回満腹。私の場合は一人¥3,500か¥4,000でお願いしています)。
 
殿から「何故おまかせをメニューに載せない?」と尋ねられると、「おまかせは高いイメージがあるので、初めてのお客さんには勧めづらい。だから、常連さんだけに勧めている」とのお答え。
 
さらに、お客さんによっては好き嫌いがあるし、在庫のある肉の種類にも毎日差があり、お店が忙しいと対応が難しいこともメニューに載せない理由だそうです。
 
なお、おまかせの金額ですが、一人当たり¥2,500では難しいそうです。「お腹いっぱいになってもらう」ためには、その金額では安いお肉をメインに、所々良いお肉を入れた構成にしないと、量が少なくなってしまうのだとか。
 
これら様々な理由から、「おまかせ」を食べたい方は事前にお店に予算と好き嫌いを伝えて予約するのが良いようです。
 
話は変わり、どの部位の肉が美味しいのかという話題になりました。
野村氏曰く、よく動くところは固くてマズイそう。それに対して殿が「タンは?」と聞くと、「タンはよく動く先端は使いません」とのこと。
つまり、あまり動かなくて脂肪が適度にあるところが美味しいのだそうです。
 
火の入れ方でも味が変わり、脂っこいお肉は網で油を落としながら焼けば美味しいし、あっさりしたお肉はフライパンのように油を逃がさない焼き方でいけるとのこと。
 
肉によっては、火が通り過ぎると美味しくなくなるため、あえて分厚く切って提供する場合もあるそうです。
そんなことまで考えてお肉を出してくれる焼き肉屋さんはそうそうありません。
 
お客さんにこういったことを伝えて、お肉を美味しく食べてもらうことがのむらやさんの希望。
お店の様子から、店長(野村氏)の手が空いていると思えるときは、店長を呼んでもらってお肉の焼き方講習を受けるのも面白いですよ。たしか、私は初めてのむらやさんに行ったとき色々と教えて頂いた記憶があります。
言うまでもありませんが、あくまでもお店の迷惑にならない範囲で、の話です。
 
こんな焼き肉マニアな店長さんがお勧めする美味しい焼肉の焼き方は、次の通り。
(例:3人で食べる場合)
・肉を3切れ網に乗せる。
・片面が焼けたら、ひっくり返して次の3切れを乗せる
・最初に乗せた3切れが焼けたら網から取り、残りの3枚をひっくり返す
・次の3枚を乗せる
・以上の作業の繰り返し
 
原則は、「面倒を見られる数しか肉を網に置かない」こと。
たいていの人は網の上に大量の肉を並べ、焼きすぎたり焦がしたり、慌てて食べないと行けない状況になっていて、肉の味を台無しにしているそうです。
 
続いてお肉の値段の話になりました。
焼き肉店のお肉は高いと思われることが多いですが、野村氏によると大して儲からないそうです。
というのも、仕入れた肉の内、実際に商品として使えるのは半分程度。残りは脂身など商品として出せない部分なのだとか。
 
値段が高くなってしまうのは必然ですが、値段が上がるとお客さんも減ってしまいます。
一時期、のむらやさんは高くても高品質なお肉だけを提供するスタイルで営業されたそうです。来られたお客さんは満足してくれますが、そんなお客さんの絶対数が少ないため、経営が厳しくなってしまい、安いお肉も扱うようになったとのこと。
 
今は¥980で切り落とし肉食べ放題というメニューがあり、これでお客さんがかなり増えたそうです。
1皿100gで、今までの最高記録は13皿。
 
当然ながら赤字になってしまいますが、これも広告宣伝費だと思えば損にはならないようです。
例えば一ヶ月に10万円をチラシなどに使うのをやめ、代わりに食べ放題で一ヶ月に10万円の赤字が出るようにするわけです。
 
お店に足を運んでもらうという効果で考えると、チラシよりも食べ放題プランの方が圧倒的に効果が高いですし、お店に一度来て良さが分かってもらえれば、夜にも来てもらえる可能性があります。
 
野村氏が言うには、のむらやは入りづらいお店だそうです。 
 
殿と野村氏がそろって言うには「竜宮城のような(異様な)雰囲気」「古い」。
 
また、お店が非常に大きいので、個人のお店だと思ってもらえず、お客さんが遠慮して店員や店長とコミュニケーションを取れないという問題もあるそうです。
小さななじみのお店なら店長に「いつもの」と注文したり、味付けや量に注文を付けることもできますが、店が大きいためにそういったことがしづらい雰囲気になっているとのこと。
 
少しでもお客さんとのコミュニケーションを取るために、野村氏は手が空けば店内を見て常連さんに声をかけたりされているそうです。これは親方(店長のお父さん)の指導によるもの。
忙しいときでも、注文のクセで「○○さんが来てるな」と分かることがあるとのこと(私も注文内容にクセがあるのですぐにバレます)。
 
最後に、今日の試食メニューの紹介がありました。
 ・ホルモンうどん
 ・ブロック肉
 ・ミノの酒蒸し
 ・炙り刺し
以上4品を頂けるとのこと。ミノが好物の私にとっては聞いたこともない「ミノの酒蒸し」に興味がわきます。
 

店名: 焼肉・しゃぶしゃぶ のむらや 明石店
住所: 兵庫県明石市二見町東二見375-2  (この住所をタップして下さい。Googleマップ上で位置が表示されます)
営業時間: 11:30~22:00
定休日: 火曜
電話: 078-941-1888
駐車場: あり(店の前と道路を挟んだ東側)
席数: 114席(出典:食べログ)
Web: http://tabelog.com/hyogo/A2804/A280401/28020757/(食べログ)
 http://nomuraya.blog100.fc2.com/(店長のブログ)
Twitter: @nomusuko
Facebook: http://www.facebook.com/nomuraya
電車で行く場合の道順:
山陽電鉄東二見駅の北側に出て、いったん東へ進んで下さい。そして、突き当たりを左に曲がり、北向き一方通行の道をまっすぐ進めば、歩道橋のある「二見公園前」交差点があります。これを渡ったところがのむらやさんです。

 
20:25
続いては本田商店の本田龍祐氏が登場。
通算6回目(7回目かも)の登場。グルメ対談に出てくれる酒蔵が見つからないときは、とりあえず本田商店さんが出演することになっているようです。
 
▲殿と対談中の本田商店、本田龍祐氏(右)
 
焼肉屋さんがゲストということで、焼肉に日本酒が合うかという話題からスタート。
本田氏曰く、「焼肉には熱燗。とろける肉の脂を、冷たいビールや冷酒で冷やして固めてどうするんだ。」
確かに、言われてみればその通りかも知れません。
 
ただ、美味しい日本酒を出す焼き肉店がほとんど存在しないのが悲しいところ。
 
燗酒は酔いにくく、酔い覚めしやすいという特徴があるそうです。
アルコールは体温と同じ温度で吸収されるため、冷や酒は体内で温められてから吸収されます。そのため、飲み始めは酔わないのに、突然酔いが回る。それに対して、燗酒は初めから温まっているので、飲んですぐ吸収され、分解も早いので適度に酔えて二日酔いもしづらいとのこと。
 
ここで本田龍祐氏の(?)名言が出ました。
「親の言うことと冷や酒は後で効く」
 
話題はころっと変わり、日本食が世界文化遺産に登録される話になりました。
 
本田氏の「文化のあるところに酒はある。」という言葉に続き、次のような考えを披露されました。
酒は嗜好品なので、余裕が無いと作れません。また、文化は進化してこそ文化。
日本酒が普及しないのは、発展させようという考えが業界に無かったから。
ホットの炭酸飲料が最近は登場していますが、日本酒も新しい飲み方を模索しないといけない。
 
冷酒は冷蔵庫が出来てから登場した飲み方、つまり時代が変わると飲み方が変わる。
新しい飲み方を考えないといけないとのことでした。
 
最後は、次は「ヨーロッパで日本酒が売れている」ことをテーマにしゃべります、と次回予告で締めくくられました。
 
20:55
待ちに待った試食の開始です。
試食の様子を、食材目線で360度パノラマ撮影してみました(RicohのThetaで撮影)。
 
通称レンガを切り分ける様子の全天球パノラマ(撮影日:2013年11月19日)
 
この大きなお肉にわさびを付けて頂きます。
 
▲切り分けられたレンガ
 
肉のうまみの塊です。安物の肉をこんな風に切っても固いだけで食べられませんが、これは肉質の次元が違います。
 
あっという間にレンガ肉は参加者の胃袋の中へ消えてしまいました。
 
(注)レンガは、お店では提供されていません。
 
続いて登場したのは炙り刺し。
のむらやさんのメニュー「炙り丼」の上に乗っているお肉で、良い意味で「これが肉か?!」と驚かされる絶品。私はのむらやさんに行くと必ず炙り丼を注文します。
 
▲炙り刺し
 
これも絶賛の嵐で、一瞬で消え去りました。
 
次はホルモンうどん。創業60年ののむらやさんで当初から出されていたメニューなので、のむらやさんが元祖かも、というお話でした。
 
これも出てきてあっという間に鉄板だけになってしまう人気。
レンガも炙りさしも何回かに分けてお皿に乗って登場するのですが、出てきて数十秒で跡形も無くなります。
 
▲ホルモンうどん
 
最後はミノの酒蒸し。
ミノは私の好物ですし、貝でも鶏肉でも酒蒸しは大好物。それが合体しているわけですし、考案したのが焼肉マニアの野村氏ですから、美味しいに違いありません。
 
▲ミノの酒蒸し
 
果たして、これまた予想通りの絶品。
 
これら最高のお肉のお供は、本田商店さん提供の「赤のドラゴン」(熱燗)と「緑のドラゴン」(常温)。
本田氏のおっしゃるとおり、熱燗が美味しい。常温のお酒でも違和感を感じてしまいます。
 
それにしても素晴らしい試食・試飲でした。
 
22:00
Q&Aコーナーが始まりました。
 
のむらやさんへの質問
質問1 安いお肉を出すと客層が変わってしまう等心配はなかった?
回答1 自分の焼き肉屋としての魂は残したい(良いお肉を提供したい)。しかし、お店がつぶれてしまうと元も子もないので、自分のやりたいことと、店を存続させるためにやらないといけないことが一致しなくてもしかたがない。
 
質問2 焼肉と日本酒が合うことがわかった。お酒を持ち込んでも良い?
回答2 出費を減らしたいがためだけの持ち込みはお断りしている。ただし、思い入れのあるお酒をどうしても飲みたいといった特別な事情があれば別。
 
質問3 日本酒は置かない?
回答3 店員がお酒の飲めないアルバイトなので、きちんとお酒をお勧めすることが出来ないのと、お酒は開栓と同時に劣化がはじまるため、難しい。
 
余談 一番身近なレジャーが外食。家族で外食と言えば焼肉、中華、寿司。「のむらやでええか」と思ってもらえるお店にしたい。
 
本田商店さんへの質問
質問1 30年古酒があると聞いたが、試飲はできる?
回答1 数がほとんどないので、試飲で使うのは難しい。どうしても欲しいという方にだけお譲りしている。
 
質問2 30年古酒のような風味のお酒は短期間で作れない?
回答2 香りは温度、味は時間が作る物なので、それは不可能。仮に出来たとしても、所詮にせものはにせもの。本物のような味と香りにはならない。
 
共通の質問
質問1 商売をしていると、周囲から色々とアドバイスや申し出を受けるが、良いかわし方は?
回答1 殿:やるやるとその時は言って、実際はやらない。あるいは、明確に理由を伝えて断る。アドバイスをする人は、良かれと思ってやっているので、はっきり理由を伝えることは大切。
     本田商店さん:人に言われたことをいちいち真に受けていたらやっていられない。
 
質問2 新しい商品の売り方のアドバイスをください。
回答2 参加者:調理器のメーカーは、機械そのものでは無くレシピを売り込んでくる。そのレシピ通りに作るために機械が必要になるという戦略。
     本田商店さん:日本酒は売れないといっても、姫路城の観月会ではバカ売れしている。売る場所や商品のコンセプトが重要。
 
質問3 食品偽装についてどう思う?
回答3 のむらやさん:手間賃や雰囲気の代金も含まれている。その値段で美味しいと思って楽しんだのなら、それでいいのでは。
     殿:例えば、飲食店をクビになったような人が腹いせに裏事情をばらすことがある。マスコミは都合の悪いニュースを隠すために、こういったどうでもいいニュースを大々的に放映する。単に安い物を高い物だと偽って売るのは悪いが、ホテル等では付加価値がプラスされているので、さほど気にしなくても良いのでは。
 
23:00
グルメ対談が終了しました。