2013年8月25日(日)
7:30頃
ホテルの部屋で呉地方隊のWebサイトを見ると、本日の展示訓練は中止とのこと。
7:30頃
ホテルの部屋で呉地方隊のWebサイトを見ると、本日の展示訓練は中止とのこと。
航海には出られなくても、艦内の見学は可能なので見に行くことにします。
8:00
ホテルをチェックアウト。
ホテルをチェックアウト。
広島駅前でタクシーに乗り、宇品の10,000トンバースへ向かいました。
8:30
試験艦あすかが停泊している10,000トンバースに到着。
試験艦あすかが停泊している10,000トンバースに到着。
受付でゲート式の金属探知機をくぐり、鞄を全開にして中身のチェックを受けました。
さぁ乗り込もうと思ったら今度は記帳。
私は展示訓練の乗艦券を持っていたので、それを渡すだけですみました。
私は展示訓練の乗艦券を持っていたので、それを渡すだけですみました。
まずは展示訓練で乗艦する予定だった試験艦あすか(ASE-6102)の見学から。
▲試験艦あすか
基準排水量: 4,250t
長さ: 151m
幅: 17.3m
深さ: 10m
吃水: 5m
主機: ガスタービン2基2軸(LM2500)
出力: 43,000ps
速力: 27kt
乗員: 約70人
試験関係員: 約100人
長さ: 151m
幅: 17.3m
深さ: 10m
吃水: 5m
主機: ガスタービン2基2軸(LM2500)
出力: 43,000ps
速力: 27kt
乗員: 約70人
試験関係員: 約100人
建造所: 住友重工浦賀
起工: 平成5年4月21日
進水: 平成6年6月21日
竣工: 平成7年3月22日
(出典:自衛隊装備年鑑 朝雲新聞社)
起工: 平成5年4月21日
進水: 平成6年6月21日
竣工: 平成7年3月22日
(出典:自衛隊装備年鑑 朝雲新聞社)
艦の中央から少し後ろ、格納庫の前に広い空間があって、そこへ地上から舷梯がかかっていました。
雨で滑りやすい舷梯を注意深く進み、隊員さんの指示で艦尾から見学します。
▲試験艦あすかの後部にあるヘリ甲板から格納庫を見る
ヘリ甲板らしきものはありますが、着艦拘束装置を動かすレールや、パイロットに指示を出すためのライト類も見当たりません。
格納庫内の右舷中央付近の扉が開けられており、「順路」と書かれていたのでその扉から艦内へ。
艦内の通路を歩いて艦橋へ向かいます。
▲試験艦あすか艦内の通路の様子
賑やかな部屋があったので見てみると、食堂でした。
展示訓練や体験航海の際は休憩所として使われます。
展示訓練や体験航海の際は休憩所として使われます。
▲試験艦あすかの食堂
テーブルに置かれているパンフレットの山は、展示訓練のものです。
悲しくなるので持って帰りませんでした。
悲しくなるので持って帰りませんでした。
続いて見学順路にあったのは操縦室兼応急指揮所。
「船の操縦は艦橋で行いますから、ここは操縦室というよりもエンジンの監視室と言った方が良いかも知れません」との説明でした。
「船の操縦は艦橋で行いますから、ここは操縦室というよりもエンジンの監視室と言った方が良いかも知れません」との説明でした。
▲試験艦あすかの操縦室兼応急指揮所内の様子
順路に従って急な階段を登ると、艦橋に出ます。
コストダウンのため最近の護衛艦は民間の船と同様の機器を使っていますが、試験艦あすかの艦橋はしっかり護衛艦らしさを残しています。
▲試験艦あすかの艦橋の様子(魚眼レンズで撮影)
艦橋の左舷側後方には海図プロッタなる装置がありました。
それは天板が透明で、中に前後に動くバーと左右に動くバーがあって、その交点には赤いランプが点いているというもの。
それは天板が透明で、中に前後に動くバーと左右に動くバーがあって、その交点には赤いランプが点いているというもの。
この上に海図をセットし、赤いランプを光らせると海図を通して赤い光が見えるというわけです。
今回は現在地が赤ランプで海図上に表示されていました。
▲海図プロッタ
艦橋から下り、順路に従って外へ出ると、乗艦したのと同じ高さの甲板の左舷前方でした。
順路の矢印は艦尾側を指していますが、側にいた隊員さんが「艦首もどうぞ」とのことだったので、艦首も見学してみます。
通常の護衛艦は艦首に速射砲やASROCがありますが、試験艦あすかには8セルのVLSが1つと、他には揚錨装置と何やら正体の分からないリールがあるのみです。
▲試験艦あすかの艦首
試験艦あすかの右隣に訓練支援艦てんりゅう(ATS-4203)が停泊しており、2隻は舷梯でつながっていました。
8:55
「あすか」から「てんりゅう」へ移動し、てんりゅうの見学を楽しむことにします。
「あすか」から「てんりゅう」へ移動し、てんりゅうの見学を楽しむことにします。
展示訓練では乗艦予定の船以外には乗れませんから、中止になったおかげで他の艦も見学が出来たわけです。不幸中の幸いとでも言うのか、塞翁が馬か。
▲訓練支援艦てんりゅう(試験艦あすかの艦首付近から撮影)
基準排水量: 2,450t
長さ: 106m
幅: 16.5m
深さ: 8.6m
吃水: 4.0m
主機: 新潟原動機8MG 28 HX型ディーゼル4基2軸
出力: 12,000ps
速力: 22kt
乗員: 約140人
長さ: 106m
幅: 16.5m
深さ: 8.6m
吃水: 4.0m
主機: 新潟原動機8MG 28 HX型ディーゼル4基2軸
出力: 12,000ps
速力: 22kt
乗員: 約140人
建造所: 住友重工浦賀
起工: 平成10年6月19日
進水: 平成11年4月14日
竣工: 平成12年3月17日
(出典:自衛隊装備年鑑 朝雲新聞社)
起工: 平成10年6月19日
進水: 平成11年4月14日
竣工: 平成12年3月17日
(出典:自衛隊装備年鑑 朝雲新聞社)
てんりゅうも艦尾から見学するようです。
後部の甲板には標的機が展示されていて、格納庫内は何やら賑わっていました。
後部の甲板には標的機が展示されていて、格納庫内は何やら賑わっていました。
▲訓練支援艦てんりゅうの格納庫
ラッパ演奏や手旗信号のデモンストレーションがあるようです。
9:00
ラッパ演奏のデモンストレーションが始まりました。
3名の若い隊員が起床ラッパ、国旗掲揚の際に演奏する「君が代」(私たちがイメージする曲とは違います)、船内の点検をするときの曲、出港の時に吹く曲を一通り披露。
ラッパ演奏のデモンストレーションが始まりました。
3名の若い隊員が起床ラッパ、国旗掲揚の際に演奏する「君が代」(私たちがイメージする曲とは違います)、船内の点検をするときの曲、出港の時に吹く曲を一通り披露。
▲ラッパ演奏の様子
引き続き、手旗信号のデモンストレーションが始まりました。
手旗信号は14種類の原画(げんかく)で構成されているとのことで、まずは第1原画から第14原画までを一つずつ実演。
手旗信号は14種類の原画(げんかく)で構成されているとのことで、まずは第1原画から第14原画までを一つずつ実演。
続いて、イロハニホヘトの7文字を順に手旗信号で見せてくれました。
モールス信号と同様、暗記するしか無いのかと思っていた手旗信号ですが、そうでないことをわかりやすく説明してくれました。
たとえば「イ」は左手を45度上に、右手を45度下に下げる第3原画(/の形)の次に右手をまっすぐ上、左手をまっすぐ下に下げる第2原画(|の形)を続けて行うことで表現しますが、これは第3原画がカタカナの「イ」の1画目、第2原画が2画目の縦棒を表しているとのこと。
「ロ」は右手をまっすぐ上、左手を水平に横へ伸ばす第7原画(Lの形)と右手をまっすぐ横、左手をまっすぐ下に下げる第8原画(Lを上下逆さにした形)を続けることで表します。LとLを上下逆さにした形を合わせると、カタカナの「ロ」の形になるわけです。
▲手旗信号のデモンストレーションの様子
9:15
今度は同じく格納庫内で呉音楽隊による演奏が始まりました。
今度は同じく格納庫内で呉音楽隊による演奏が始まりました。
本来は35名いる楽団だそうですが、本日の展示訓練に参加する艦艇に分乗するために各艦とも3人ほどしか乗っていないそうです。
てんりゅうの奏者は若い女性2名と男性1名。
3名(3種類の楽器)だけでしたが、さすがプロ。曲の選択の良さもあるのでしょうが、いろいろな曲を見事に演奏されていました。
3名(3種類の楽器)だけでしたが、さすがプロ。曲の選択の良さもあるのでしょうが、いろいろな曲を見事に演奏されていました。
▲呉音楽隊の隊員による音楽演奏の様子
9:36
音楽隊の演奏が終了したので、標的機をじっくり眺めてから艦橋の見学に行くことにします。
音楽隊の演奏が終了したので、標的機をじっくり眺めてから艦橋の見学に行くことにします。
▲標的機
さきほど見たあすかと違い、格納庫を出ると屋根のない甲板に出てしまいます。
艦橋への入口が分からなかったので、参加者が出てくるドアを探し、そこから艦内へ。
▲訓練支援艦てんりゅうの艦橋(魚眼レンズで撮影)
てんりゅうの艦橋では、操舵席の左に下駄箱のような棚があり、その中に双眼鏡が1つずつ収めてありました。
勝手に取り出すわけにはいかないので、艦長席にあった双眼鏡を見てみましたが、メーカーは不明。
どこにも何も書いてありませんでした。
どこにも何も書いてありませんでした。
艦橋から下って艦内へ。
あすかと同様、食堂と操縦室兼応急指揮所が公開されていました。
▲てんりゅうの食堂
▲てんりゅうの操縦室兼応急指揮所
そのまま通路を艦尾に向かって進むと、明るくて広い空間に出ました。
標的機が展示されていた甲板直下のようです。
ここは喫煙所になっていました。
▲喫煙所になっていた空間
10:05
一通りてんりゅうも見終えたので、今度はあすかの前に停泊している掃海艇「あいしま」と「みやじま」を見に行くことにしましょう。
一通りてんりゅうも見終えたので、今度はあすかの前に停泊している掃海艇「あいしま」と「みやじま」を見に行くことにしましょう。
▲掃海艇あいしま(MSC-688)
基準排水量: 510t
長さ: 約54m
幅: 約9.4m
深さ: 約4.2m
吃水: 3.0m
船型: 長船首楼型
主機: 三菱6NMU-TA(B)EI型ディーゼル2機2軸
出力: 1,800ps
速力: 14kt
乗員: 約35人
長さ: 約54m
幅: 約9.4m
深さ: 約4.2m
吃水: 3.0m
船型: 長船首楼型
主機: 三菱6NMU-TA(B)EI型ディーゼル2機2軸
出力: 1,800ps
速力: 14kt
乗員: 約35人
建造所: USC京浜
起工: 平成13年4月17日
進水: 平成14年10月8日
竣工: 平成16年2月16日
(出典:自衛隊装備年鑑 朝雲新聞社)
起工: 平成13年4月17日
進水: 平成14年10月8日
竣工: 平成16年2月16日
(出典:自衛隊装備年鑑 朝雲新聞社)
上の写真を見ても分かるとおり(細い木材を組み合わせているのが分かる)、船体は木製。
そもそも掃海艇は海中にある地雷、つまり「機雷」を処分して海を安全にするのが任務です。
機雷は音に反応したり、磁気に反応するため、掃海艇は船体の大部分が木製(磁気対策)で、機雷を処理する際はエンジンは使わずモーターで航行(音響対策)します。
あいしまに搭載されている機雷処分具はPAP-104 Mk.5と呼ばれるもので、これを海中に入れ、海底付近にある機雷に対しては爆雷を投下して処理し、海底のおもりからヒモでつながれ、海中を漂う機雷はそのヒモを切って浮上させてから爆破処分します。
▲掃海艇あいしまの機雷処分具(PAP-104 Mk.5)
艦内に入って驚きました。
船体が木製だとは聞いていましたが、艦内の天井や柱、ドアまで木製でした。
船体が木製だとは聞いていましたが、艦内の天井や柱、ドアまで木製でした。
▲掃海艇あいしま艦内の通路
階段を登って2階分上がると、艦橋に出ました。
艦橋の雰囲気が「あすか」や「てんりゅう」とは全然違います。
艦橋の雰囲気が「あすか」や「てんりゅう」とは全然違います。
▲掃海艇あいしまの艦橋の様子(魚眼レンズで撮影)
艦橋から1階分だけ下って外に出ると、20mm機関砲のある艦首へ行けます。
▲あいしま艦首の20mm機関砲
雨のためブルーシートがかけられており、そのおかげで雨を気にせずじっくり見物出来ます。
照準器が機関砲の中心から少し左にずれているのが気になったので尋ねると、回転する砲身のうち左端にある砲身から弾が出るためとのことでした。
▲照準器は弾が出る砲身の位置に合わせて左にオフセットされている
艦橋の下のフロアからさらに下のフロアへ下り(乗船した高さ)、艦首へ向かいます。
あいしまは艦首にトイレと食堂があるのですが、食堂の左手前に士官室がありました。
▲あいしまの士官室の様子
インクジェット複合機が置かれており、聞くと幹部はノートPCを持っているため、それをこのプリンタにつないで印刷をするそうです。
最後に艦首の食堂を見学。
ここでは昨日行った江田島の幹部候補生学校を紹介する映像が流れていました。
私も含めて見学者は皆その映像に釘付け。
幹部になるためにどれほど過酷な訓練を受け、どれだけ強い覚悟と意思を持っているのか、テレビ画面からしっかり伝わってきました。
▲あいしまの食堂の様子
10:45
すっかりこの映像に夢中になっていたら、食堂の隊員さんの無線機から「午前の部の受付終了」の声が聞こえてきました。
すっかりこの映像に夢中になっていたら、食堂の隊員さんの無線機から「午前の部の受付終了」の声が聞こえてきました。
午前の開放は11時までなのです。
もう一隻の掃海艇みやじまの見学は時間切れでできません。
11:00
会場を後にし、600mほど西にある路面電車の海岸通り駅から広島駅に戻りました。
会場を後にし、600mほど西にある路面電車の海岸通り駅から広島駅に戻りました。
毎回思いますが、イベントのために大変な準備をし、当日は丁寧に私たち見学者の対応をして頂いている自衛隊の皆様には本当に感謝いたします。
広島駅でお土産を購入し、昼食を食べて12:49発ののぞみ130号で姫路へ。
広島から姫路まではわずか1時間弱でした。