播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

第30回 殿のグルメ対談(シンバルx灘菊酒造)

今日は姫路の大手前にある大手前第一ビル4階の「納屋工房」さんで開催された「第30回 殿のグルメ対談(シンバルx灘菊酒造)」に参加してきました。
 
「殿」は食べログでは「ハイパー殿」の名前で2,000件近い(2013年7月中旬時点)口コミを書かれている方です。
 
 日程 2013年7月17日(水)
 時間 19:30~21:30(予定)
 参加費 一人¥1,580

19:40
殿のあいさつからグルメ対談が始まりました。
最初はSinBar(シンバル)の店主 海原氏(30)と殿の対談です。
 
 
▲SinBarの店主 海原氏(右)
 
シンバルはSinBarと表記するお店で、マックスバリュ北条店の北にある交差点を西へ入り、外堀川を渡ってすぐ左側にあるのですが、たまたま通りかかるような場所ではなく、非常に分かりにくいというお話でした。
 
SinBarという名前の由来ですが、海原氏はお店を持つなら「深」とか「信」等の「しん」と読む字を使いたかったということと、お店の形態であるバル(Bar)を組み合わせて「SinBar」にされたそうです。
 
お店のロゴでは「S」の字が大きく、ちょっと変わった形をしていますが、これはエビをモチーフにしているとのこと。
 
海原氏は居酒屋等の和食系のお店で7~8年、洋食系のお店で2年ほど経験を積まれた後、SinBarを開店されました。
そのため、「和も洋も出来るので、両方を組み合わせた料理を楽しめる」上に、「ワインやビールの品ぞろえが豊富で、世界の様々な銘柄を楽しめる」そうです。
 
さらにSinBarにはもう一つ売りがあって、それは「牡蠣を年中食べられること。」
夏でも寒冷な地域では安全な牡蠣が採れるので、時期によって産地を変えながら、一年を通して牡蠣を提供しておられます。
 
最初にお店の場所が分かりにくいと書きましたが、なぜそのような場所で開店されたのかとの殿の質問には「一人でやるのに最適な広さで、テラス席があるという条件で探したら、たまたまあの場所になりました。」とのお答え。
 
殿がいろいろとお話を聞き出していくと、海原氏の行動力のすごさが明らかになっていきました。
 
SinBarのオープンは2011年12月ですが、お店を開くことを決めたのが同年8月後半、それからお店の業態を考え、3か月後の11月には前職をやめ、翌12月にSinBarを開店という驚異的なスピード。
 
さらに、近所で飲食店用の物件が空いたことを聞くと、海原氏曰く「思いつきで」TARU TARU(タルタル)という鶏料理店もオープン(2013年1月)。しかも、店舗を借りる契約をしてからお店を任せる人を探すという勢いのよさ。
 
TARU TARUでは、但馬鶏という銘柄の鶏肉を使った料理と、姫路初の樽生ワインや樽生スパークリングワインが頂けるそうです。樽生ワインは樽から出るまでは空気に一切触れないので、いつも新鮮な状態で提供できるのがメリット。

お店では木製の樽から出てくるように見えますが、それは飾りで、実際は生ビールのようにステンレス製の容器に入っているとのこと。
 
「また思いついたらお店を開く?」と尋ねる殿に「次はメキシコ料理店をやりたい」と回答。「なんで?」「メキシコビールはおいしいし、料理もおいしい。基本的に、自分が行きたいと思うお店を作りたい。」
 
SinBarの形態はバルですが、実際は50~60種類のフードメニューがあり、しっかり食事もできるお店のようです。

殿曰く「客層が良くて静かに楽しめるお店。」ですが、海原氏は「もっとワインを楽しんでもらえるお店にしたい」とのことでした。
 
注:現在は営業していません。
店名: SinBar(シンバル)
住所: 姫路市三左衛門堀西の町141 センシブルハウス101
(上の地図が表示されない場合は、住所をクリック)
営業時間:月・火・木・日 18:00~24:00(23:00 L.O.)
     金、土、祝前 18:00~25:00(24:00 L.O.)
     ランチ(要予約) 11:30~14:00
定休日: 水曜日
駐車場: あり
クレジットカード: 可
その他: 店内禁煙
URL: http://www.sinbar-himeji.com/
食べログ: http://tabelog.com/hyogo/A2805/A280501/28033185/
 
注:現在は営業していません。
店名: TARU TARU(タル タル)
住所: 姫路市三左衛門堀東の町93 北条アルシュビル 101
(上の地図が表示されない場合は、住所をクリック)
営業時間: 18:00~26:00(25:00 L.O.)
定休日: 不定休
駐車場: あり
クレジットカード: 不可
その他: 禁煙席なし
facebook: https://www.facebook.com/Tarutarutarutaru
食べログ: http://tabelog.com/hyogo/A2805/A280501/28036676/

20:05
海原氏との対談が終了し、続いて灘菊酒造の杜氏(とうじ。酒蔵の製造責任者)である川石光佐氏(34)が登場。
 
川石氏は、杜氏の世界では珍しい女性。
川石氏がこの世界に入った頃は、集まり等に参加しても女性杜氏は自分だけという状態だったそうです。
 
そもそも杜氏は、北国の農家の方が、コメ作りが終わった冬に酒造りの盛んな地域へ出稼ぎに出て就く仕事です。
半年ほど家を空けることになるため、(今はそんな時代ではありませんが)家を守るのが役目だった女性は杜氏になれなかったので、杜氏は男性ばかりでした。
 
しかし、高齢化と後継者不足で杜氏がいなくなり、酒蔵のスタッフ自身が杜氏になることが多くなってきました。その中には当然女性も含まれるので、昔に比べると女性杜氏は増えているそうです。
 
酒造の期間、麹の管理が大変で、夜中も2時間に1回温度を確認し、必要に応じて布を掛けたり、逆に取り除いたりして温度を調整します。

お酒のグレード等によって温度を調整する間隔には差があって、4時間に1回ほどで良い場合もあるそうです。
今は携帯電話で麹の温度を確認できるようになったので、だいぶ楽になったとのこと。
 
酒造りの期間の中でも寒い時期とそれほど寒くない時期があるので、低めの温度が良い吟醸酒は寒い時期に作るなど、時期に応じて作るお酒を変えられているそうです。
 
酒造りの話題はさらに続きます。
 
酒蔵といえば、もろみが入ったタンクの上で蔵人が中身をかき混ぜる場面をイメージしますが、あれは櫂入れ(かいいれ)と呼ばれ1日に2回行われていて、混ぜるのではなく縦に突いているのだそうです。
 
もろみの状態は、ベテランなら見ただけでわかるそうですが、ふつうは比重を測って調べるとのこと。
 
「タンクの中に落ちる人もいるのでは?」と殿に尋ねられ、「酒造業界全体では、毎年のように事故が起こっています。」とのお答え。

タンク内は水面からタンクの縁まで発酵によって発生した二酸化炭素がたまっているので、誤って転落した場合、水面から顔を出して呼吸をすると二酸化炭素が極端に多い空気を吸い込むことになり、意識を失ってそのまま溺死してしまうようです。
 
今回は酒造りの裏側をいろいろと聞ける興味深い対談でした。
 

https://goo.gl/maps/4KaFjEEBpNnmMMsF8
▲灘菊酒造さんの場所

会社名: 灘菊酒造株式会社
住所: 姫路市手柄1-121
(上の地図が表示されない場合は、住所をクリック)
営業時間: 10:00~18:00(酒蔵見学の対応時間(最終入場17:00)、売店の営業時間)
定休日: 無休(12/31~1/3を除く)
駐車場: あり
URL: http://www.nadagiku.co.jp/
facebook: http://www.facebook.com/nadagiku.co
 
20:40
試食と試飲が始まりました。
 
試食のメニューはSinBarさん提供の以下の4品。
・煮アナゴと里芋のチーズ焼き
・アンチョビブロッコリー
・地ダコと夏野菜のマリネ
・牡蠣のオイル漬け
 
 
▲試食メニュー(グラタンのようなものが煮アナゴと里芋のチーズ焼き、中央がアンチョビブロッコリー、右が地ダコと夏野菜のマリネ、下が牡蠣のオイル漬け)
 
どれも美味しいのですが、私の好みでは、煮アナゴと里芋のチーズ焼きが最高でした。アナゴも里芋も私の好物ですし、グラタンも好きなので、グラタンのように焼きあがった姿も良い。

牡蠣も大好評でした。
 
試飲は灘菊酒造さん提供の「33」と「甘酒」です。
 
 
▲試飲メニュー(左端が甘酒で、青いビンが33)
 
「33」は甘口のお酒で、一口目でかなりの甘さを感じますが、甘さがすっと引いて後味はすっきりしています。お値段は500ml入りで¥1,200。

そのまま飲んでも美味しいのですが、炭酸水で割ってもうまい。日本酒だということを忘れてしまいます。私はカクテルに詳しくないのでよく分かりませんでしたが、他の方々からは「モヒートのよう」と評されていました。
 
甘酒も美味しかった~。500ml入りで¥630。
甘酒なんておいしいというイメージがありませんでしたが、これは素晴らしい。甘い物好きの私にはぴったり。
川石氏によると糖度26という甘さですが、米麹以外は使っていません。
 
最後は川石氏がダイエットをされているときに飲まれていたというバナナジュース。
先ほどの甘酒と豆乳をメインに、皆の見ている前でミキサーで作った一品。
 
 
▲バナナジュースを作る様子
 
川石氏本人が参加者一人一人のカップに注いでくださいました。

21:40
試食と試飲が終わり、対談のゲストに参加者が質問をするQ&Aコーナーが始まりました。
 
SinBarさんへの質問と回答
質問1 ワインを飲まない人でも楽しめますか?
回答1 飲みやすいワインもありますし、ビールや焼酎もあるので、大丈夫です。
 
質問2 ワインはどこから仕入れていますか?
回答2 コレットさんです。有能なソムリエさんがおられるので、助かっています。
 
質問3 お店をしていて幸せを感じるのはどんな時ですか?
回答3 オープン当初から来ていただいているお客様から「いい店になった」と言われた時は本当にうれしかったです。
 
質問4 出身はどちらですか?
回答4 姫路です。船場の浜さきでも3年ほど働いていました。
 
質問5 なぜ牡蠣にこだわるようになったのですか?
回答5 三宮のオイスターバーで働いたことがあって、そのつながりで安全な牡蠣を仕入れるルートが確保でき、一年を通して安全な牡蠣を提供できるようになりました。
 
質問6 ご自分のお店以外で、おすすめのお店はありますか?
回答6 amsさんは落ち着けるお店です。浜さき船場店さんも餃子とチャーハンが最高においしいです。他に、私のお店の周囲も良いお店ばかりです。
 
質問7 地元の農産物を使われる予定は?(農業をされている方からの質問)
回答7 地元のものを食べてもらいたいと考えています。街づくり(地元の活性化)にもなりますから。
 
灘菊酒造さんへの質問と回答
質問1 コメへのこだわりは?
回答1 震災以降、東北のコメが売れなくなった影響で、兵庫県産の酒米が引っ張りだこになっています。そのため、予約していてもコメが手に入りにくい状況です。それは当然、コメの値上がりにつながります。うちでは夢錦を使っていますが、取引先の農家の方が他所へ売らず、値段も上げずに提供してくれており、非常に助かっています。
 
質問2 仕事をしていて幸せを感じるのはどんな時ですか?
回答2 自分が造ったお酒をほめて頂いた時や、思い描いた通りのお酒が出来た時です。
 
質問3 どうして杜氏になったのですか?
回答3 もともと継ぐ気はなかったのですが、二人いる姉は両方とも先に酒造りから離れてしまいました。残り物には福があるかもということで後を継ぎましたが、周囲がやさしくサポートしてくれて、楽しく酒造りが出来ました。学生時代の研修で酒蔵に行ったときの経験も、杜氏になる後押しになっています。
 
22:30
予定より1時間遅いですが、第30回殿のグルメ対談は終了。