播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

手ぶれ補正機能付き双眼鏡:Canon 10 X 30 IS

仕事で大阪に行ったついでにヨドバシカメラへ寄ったとき(もちろん定時後)、ヘルメットや自転車、胸元に取り付けて自分の見た風景をそのまま録画出来るアクションカメラと呼ばれるジャンルの製品を買おうと思っていたのですが、その売り場のすぐ近くに双眼鏡や望遠鏡のコーナーがありました。
 
こんな売り場があったのかと驚いて、そこに並んでいた製品をぶらぶらと眺めていたら、以前「欲しい欲しい」と思っていたもののすっかり忘れていた手ぶれ補正機能付の双眼鏡を見つけてしまいました。

アクションカメラなんてどこへやら、発作的にそこで購入したのが、今回紹介する双眼鏡です。
 
 
▲パッケージ
 
 

▲パッケージ内容(専用ケース、本体、ストラップ)
 
製品名: 10×30 IS
メーカー: キヤノン株式会社(日本)
倍率: 10倍
高さ: 150mm
幅: 127mm
厚さ: 70mm
重量: 600g(電池別)
最短合焦距離: 4.2m
プリズム: ポロ2型プリズム
ピント調整方式: 対物レンズ移動方式
手ぶれ補正方式: バリアングルプリズムによる光学補正方式(補正角度はプラマイ1度)
実視界: 6度(1000mにおける視界105m)
見かけ視界: 60度
アイレリーフ: 14.5mm
電源: 単3形電池x2本(バッテリーパックBP-B1使用可能)
ランタイム: 常温(セ氏25度)で約4時間(アルカリ電池)、約12時間(リチウム電池)
定価: 68,250円
購入価格: 43,600円
購入先: ヨドバシ梅田の店頭
 
※上記の仕様はメーカーWebサイトの情報を元にしたもので、実測値ではありません。
 
冒頭で書いたとおりこの双眼鏡には手ぶれ補正機能があり、その機械部分や電源を内蔵するためにかなり特殊な外観を持っていますが、持ち心地は快適です。
 
 
▲双眼鏡本体上面
 
 
▲双眼鏡本体下面
 
 
▲双眼鏡本体側面
 
 
▲接眼レンズ側
 
 
▲対物レンズ側
 
手ぶれ補正機能は、本体上面の手ぶれ補正スイッチを押している間だけ機能します。
その仕組みを動作させるための電池は、双眼鏡下面のこの部分に収納。
 
私の場合は、人差し指でピント調節つまみを回し、中指で手ぶれ補正スイッチを押すようにしています。
 
 
▲ピント調節つまみと手ぶれ補正スイッチ
 
 
▲電池ボックス
 
通常、手持ちで使える双眼鏡の倍率は7~8倍程度までと言われており、私もそれを信じてそのくらいの倍率の双眼鏡を今まで購入していました。
 
しかし、その倍率であってもレンズ越しに見る遠くの物体は手ぶれにより震えて見え、対象物の細かい特徴(書かれている文字や質感など)が「見えているのに読み取れない」という問題があります。
そのため、双眼鏡用三脚アダプタを買い、山へ行くときはパノラマ撮影のために持っている三脚に双眼鏡を取り付けて、ブレの無い景色を楽しんでいました。
 
この双眼鏡は倍率が10倍で、一般的に手持ちで使えると考えられる限界を超えています。
しかし、手ぶれ補正機能があるため驚くほど鮮明な景色を楽しめるのです。
 
普通の双眼鏡なら「ブルブル」「ガタガタ」と震えて見える景色が、この双眼鏡なら「ゆーらゆーら」と大きくてゆっくりした動き、あるいは対象物がそう遠くない場合には双眼鏡が固定されているかのような見え方になり、この双眼鏡単体で、遠くの看板の文字などがはっきり読み取れます。
 
実際に手ぶれ補正の効き具合は、以下の動画でご覧下さい。

手ブレ補正がいつONまたはOFFになっているのかは、動画上部の表示で確認できます。
動画の中央に写っている煙突は、撮影場所から約8.5km離れています。右下に写っている山までの距離は、約550m。
三脚で固定したカメラの前に、双眼鏡を手持ちで構えて撮影しています。
 
 
山へ双眼鏡を持っていくのを忘れたときは、一眼レフカメラに手ぶれ補正機能付きの望遠レンズを付け、ファインダーを覗いてシャッターを半押しにする(ピントが自動的に合い、手ぶれ補正が作動する)という方法で、カメラを望遠鏡代わりにすることがあります。それでもある程度は役に立つのですが、カメラは重いし、片目だけで長時間見るのは疲れます。
 
その点、手ぶれ補正機能付の双眼鏡ならカメラより軽量ですし、両目で見られる(片目を閉じ続けておく必要が無い)ので楽です。また、両目で見るため遠近感もよく分かって迫力ある景色が楽しめます。
 
双眼鏡を使う上で大切なのは、自分の目に合わせてしっかり双眼鏡を調整することです。
この双眼鏡には、眼幅調整と視度調節機能があるので、実際に使用する前にしっかり調整しておく必要があります。
 
 
▲眼幅を最も狭めた状態
 
 
▲眼幅を最も広げた状態
 
視度調節リングは右の対物レンズにあり、アイカップ自体が調節リングになっています(上の写真で、右の接眼レンズに目盛りが付いているのがおわかりいただけると思います)。
 
接眼レンズの間隔を調整し、双眼鏡を覗いたときに風景が綺麗な円形に見えるようにします。
テレビなどでは、双眼鏡を覗いた景色として映される映像が8の字を横に倒したような輪郭になっていますが、実際はあんな見え方はしませんし、あんな風に見える時は眼幅が正しく調整出来ていません。
 
眼幅の調整が出来たら、次は視度調節です。左右の視力に差がある人が多いので、その差を埋めるための作業です(初めてその双眼鏡を使うときや視力が変わった時にだけ行う作業。)
 
双眼鏡で何か適当な対象物を見て、右側の対物レンズを手で隠すか右目だけをつぶってピントを合わせたら、今度は左の対物レンズを手で覆うか左目だけをつぶり、ピント調節つまみではなく視度調節リングを回して先ほどと同じ対象物が綺麗に見えるようにピントを合わせます。
これで視度調節は完了。後は、見る対象物の距離が変わったらピント調節つまみを回すだけで、ピントが完璧に合った景色を楽しめます。
 
双眼鏡を持っているけれど、片側だけに付いているリングの意味を知らなかったという方は、上記の視度調節をしてみて下さい。今までより綺麗に見えるようになるかも知れません(リングが偶然正しい位置にあった場合は差が出ないと思いますが、そうでなければ見え方が良くなるかも)。
 
比較的軽量で見え方が素晴らしい双眼鏡ですが、やはり気になる点はあります。
 
この双眼鏡を使っていて一番気になるのは、目と双眼鏡の位置を常に正確に合わせておかないと、黒いもやっとしたものが視界に入ることです(ブラックアウトしやすい)。
 
接眼レンズキャップにも不満があります。
対物レンズ側にはキャップやカバーはありませんが、接眼レンズにはキャップが被さっています。
このキャップが外れやすいし、使用時は邪魔なのです。

たとえば、双眼鏡をケースに入れるときに、キャップの縁がケースの口に引っかかってポロッと取れてしまうことがよくあります。
 
 
▲接眼レンズ用キャップ
 
眼幅が人それぞれなので1つの大きなカバーでレンズを保護することは出来ませんし、銃に使うスコープのような跳ね上げ式のカバーも、アイカップを折り返したり回転させたりする都合上使えませんから、どうしようも無いのかも知れません。
 
いっそのこと、このキャップは使わないようにした方が良さそうです。
 
もう一つ気になるのは、ストラップ。
携帯電話やその他ストラップを取り付けられる大抵の製品と同様にストラップホールの位置が悪く、通すのが非常に困難です。
また、ストラップを付けているとケースからの出し入れがしづらく、私はストラップを付けていません。
 
付属している専用ケースも、あまり使い勝手がよくありません。
ケースを首からかけておくなら、双眼鏡そのものを首からかけておくだけの方が使いやすいですし、運搬用のケースとして見ると、クッション製や防水性がそれほど高くありません。
 
ジッパーで口が大きく開くのは、確かに双眼鏡の出し入れが容易で良いのですが、このケースを使う状況がよく分かりません。
 
 
▲専用ケース正面
 
 
▲専用ケース背面
 
 
▲専用ケース底面
 
私は、モンベルのプロテクションアクアペル(2リットル)という防水性が高く、多少のクッションが入っており、内部が布張りになった袋をケースとして使っています。
 
最後に気になる点をいくつか書きましたが、従来の双眼鏡とは別次元の景色をこの価格で楽しめるという点では、買って損はないと思います。
お金に余裕があれば、防水性能を持った上位モデルが良いかも知れません。