播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

第24回殿のグルメ対談 しちりん焼肉「だい」 X 富久錦

今日は第24回殿のグルメ対談に参加してきました。
 
会場はいつもどおり納屋工房(兵庫県姫路市本町68番地 大手前第一ビル4階)。
19:30~21:30の予定です。
 
19:37
殿の挨拶と注意事項の説明で対談が始まりました。
 
19:40
しちりん焼肉 だい(食べログ:http://tabelog.com/hyogo/A2805/A280503/28004857/)(〒678-0031 兵庫県相生市旭1丁目17-1)(以下「だい」さん)の店長、伊原さんが登場。
 

▲殿(左)と伊原さん
 
「だい」さんは今年の11月で10年目を迎える焼き肉店です。
 
伊原さんは、元々大手の建設関係の企業で働いていましたが、縁あって焼肉店で働くことになり、23歳の頃、自分にはこの焼肉店という商売が合っていることに気づいたそうです。
 
数年後にはお店を任されるようになり、自分でお店を持ちたいという気持ちが強くなっていった頃、母親が経営していた喫茶店を改装して焼き肉店を開店。

その時から、すでに現在の「だい」さんの特徴である七輪・高品質な炭・上から吸気する排煙装置の3つが揃っていました。
 
「だい」さんのこだわりは、大きく分けて3つ。
 
まずは炭。
炭が良くないと、タレが落ちて焦げた煙が肉を包むとき、香ばしい香りが出ません。
そこで、お店を開く前は毎日毎日、アパートのベランダで全国から取り寄せた炭をとっかえひっかえ燃やし、お店では廃棄されるようなお肉を使って香りの研究に励んでいたそうです。
 
続いてタレ。
初めから肉に付けて提供するタレと、焼いた後に付けるタレの両方が交わって初めて100点になるような味のバランスを研究し、肉の質や部位によってもその配合を変えているそうです。
味の統一感を出すために、味噌だれには醤油だれを混ぜる等、すべてのタレに共通性を持たせているのもポイント。
材料となる果物もいろいろな品種を試し、9年目にしてやっと満足のいくリンゴの銘柄を見つけたというほどのこだわり。
 
最後は肉。
普通の焼き肉店では、あらかじめ切った肉を保存するようですが、「だい」さんでは肉の鮮度を保つために、切っていない状態で、なるべく空気に触れないように保存し、お客さんの様子や肉の質に応じて切り方を変え、上にも書いたタレの調合を変えて提供しています。
 
肉の質も普通の焼肉店とは違います。
A4ランク以上の雌牛のみという播州牛ブランドの牛肉が主に使われています。

雌牛には出産という重大な役割があるため、通常は去勢した雄牛の肉が多く出回っており、雌牛の出荷頭数は少ないのだそうです。
ただ、ブランドを付けられるのは肉のみで、ホルモンなどの内臓はブランドが関係無いそうで、「だい」さんでも内臓系のメニューには播州牛という名前は使われていません。
 
これらこだわりのタレと肉を、お客さんの様子やその日の肉の質に応じてお客さんに提供するのが、「だい」さんのおいしさの秘密です。
 
店長の伊原さん曰く「料理が好きなのではなく、肉が好き。」
 
20:15
引き続き、富久錦株式会社(兵庫県加西市三口町1048)の7代目、稲岡社長の対談が始まりました。
 

▲殿(左)と稲岡社長
 
富久錦は1839年、高杉晋作が生まれた年に創業した酒蔵で、酒蔵としては新しいかも知れません。
 
酒蔵で生まれ育ったため、中学校に入る頃までは後を継ぐのが当たり前だと思っていましたが、その後は反抗期のためか後を継ぐことに抵抗を感じるようになり、酒蔵の子息には優先枠(兄弟が複数いる場合は一人に対してのみ有効)がある東京農大の醸造科学科にも行かず、弟さんが東京農大に入られたそうです。
 
しかし、大学卒業後はどういうわけか富久錦株式会社に入社し、結局後を継ぐことになったとのこと。
 
富久錦の酒蔵にはレストランが併設されていて、富久錦さんで作られたお酒と料理を楽しめます。
これは、自分たちで作ったお酒を自分たちでお客さんに提供し、お客さんの声を商品作りに反映させることで、旧態依然としていた酒蔵のあり方を変えたいという気持ちがあったからなのだそうです。
 
レストランがある酒蔵といえば、姫路では観光バスもよく来る灘菊さんがありますが、富久錦さんは観光バスの受け入れに消極的です。
それは、バスが来て数十人のお客さんが一度に入ってくると、その場の雰囲気が大きく変わってしまうから。
静かに食事や酒蔵見学を楽しみたい人も多いので、そういった方々に快適に楽しんで頂くための配慮だそうです。
 
富久錦さんのお酒で人気があるのは「Fu.」等の低アルコール酒。

元々四国の酒蔵の方が研究開発した低アルコールの甘いお酒が有名になり、それに倣って富久錦さんでも同様のお酒を造るようになったそうです。
 
「Fu.」という名前は変わっていますが、これは富久錦の頭文字の「ふ」でもあり、飲んだ後に出る「ふぅ~」という声も表しているとのこと。
 
20:45
いよいよ試食・試飲の始まりです。
 
まずは15kgもある播州牛のバラ肉の塊を「だい」の店長伊原さんが捌きます。
 

▲肉の塊を捌く様子
 
肉を切り開いてはそれぞれの部位の名称や特徴を説明し、また切っていくという形で作業が進みます。
 
同じような場所にある肉なのに、少し場所が変わるだけで肉の質も味も大きく違うというのが不思議。
 
最後は炙りにして試食させていただく部分が綺麗に盛りつけられ、ガスバーナーで炙られていきます。
 

▲播州牛の炙り
 
これを醤油とわさびで食べるわけですが、もう「たまらん」。この4文字で分かって下さい、この柔らかさとおいしさを。
お皿に盛りつけられた炙りは、あっという間に消えてしまいました。

その後も伊原さんがどんどん切っては炙ってを繰り返してくれましたが、そのたびにあっという間に肉が消えてしまうという人気ぶり。

試食の品がこれほど早くなくなる対談は、私の知る限りでは今までありませんでした。
 
このお肉と一緒に頂くのは、富久錦さんの純米にごり酒や2年熟成の純米酒。
 

▲富久錦さんのお酒(奥から「特別純米」「純米しぼりたて」「純米にごり酒」)
 
純米にごり酒は飲み易すぎて怖いくらいのお酒です。
特別純米はインターナショナル・サケ・チャレンジで2010年に最高金賞を受賞したお酒。

どれもこれも美味しいので、自分が何をどれだけ飲んだかよく覚えていません。
とろけるような(というか、実際とろけます)美味しいお肉と飲みやすいお酒をちびちびやっていたら、「だい」の伊原さんが鍋を用意してくれています。
 

▲「だい」さんが用意してくれた鍋
 
この鍋がまた悶絶するほど美味しい。
肉は柔らかいし美味しいし、味が濃いのが嬉しい。
 
十分幸せな気分でしたが、最後は鍋にラーメンとパスタが投入され、試食の締めにぴったりの雰囲気になりました。
 
21:50
本当なら21:30に終了している予定ですが、試食と試飲が素晴らしすぎてみんな席に着きませんから、こんな時間になってしまいました。
 
ここからは「だい」さんと「富久錦」さんへの質問タイムです。
このQ&Aで知ることが出来た事柄を、以下にまとめておきます。
 
しちりん焼肉「だい」

・炭火焼肉を出すのは夜のみ、昼は煮込み料理がメインのランチとなっているのは、「焼肉は家族や大切な人とディナーとして食べるのにふさわしい料理だと考えているから。」
 
・肉の歩留まりは50%ほど。脂身や使い物にならない部位を捨てていくと、半分ほどしか商品として提供できないので、肉の値段は実質2倍程度ということになる。
 
富久錦株式会社

・富久錦の生酒は秋口が美味しい。
 
・Fu.は1ロット=200kgのお米なので、大量生産が難しい。大量のお米で作ると、うまくできあがらない。
 
・杜氏を社員にしているのは、酒造りの技術を会社に残すため。
 
23:00過ぎに終了
 
今回も美味しい物をたっぷり味わえて、いろいろなお話を聞けて、素晴らしいひとときでした。