播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

iPhoneで操縦するラジコンヘリ:Ar.Drone

最近、情報番組に頻繁に登場しているAr.Drone(エイアール・ドローン)。
ご存じない方のために簡単に説明しておくと、Ar.Droneとは、iPhoneやiPod touch、iPadで操縦可能なラジコンヘリです。カメラを搭載しているため、ラジコンヘリに乗っているような視点の映像をiPhone等で見ながら操縦することも可能。
 

 
製品名:Ar.Drone
メーカー:Parrot SA(フランス)
電源:専用リチウムポリマーバッテリー(3セル、11.1V、1000mAh、10C)専用充電器付
動作時間:約10分(充電は90分)
フランス価格:299.99ユーロ
US価格:$299.99
日本価格:¥43,800
 

▲発泡スチロールのカバーは、マグネットで固定されている後部を持ち上げてから前方へ引き抜く。
 

▲本体中央に専用リチウムポリマーバッテリーを搭載する
 
プロペラが4枚あるので、「4」を表す接頭語(quad)を使って「quadricopter(クアドリコプター)」とメーカーは呼んでいます。
 

▲プロペラ部分のアップ(35000rpmのブラシレスモーターを搭載)
 
Ar.DroneはiPhone等と同じように傾きを検知するシステム(加速度センサー)やジャイロスコープを搭載しているので、自動で空中停止(ホバリング)が出来てしまいます。前進後進、上昇下降も簡単。
 
画面上には電波強度、Ar.Droneのバッテリー残量、非常ボタン(これを押すとモーターが全て停止し、その場で強制着陸)、設定ボタン(トリムの調整や機体が傾く角度の範囲調節等)、前方カメラ/底面カメラの切り替えボタンがあり、画面左下のボタンを押している間はiPhoneの傾きでAr.Droneが動き、右のボタンはジョイスティックになっていて、上下が上昇下降、左右は機首の方向操作に使います。
 

▲Ar.Droneを操作する専用アプリ「Free Flight」の画面。映っている風景は、Ar.Drone機首カメラの映像。
 
つまり、ジョイスティックで進みたい方向に機首を向け、左下のボタンを押してiPhoneを前に傾けると前進します(ボタンを押した瞬間の状態が基準となり、その状態からどの方向にどの程度倒れているかを検知する)。
左下のボタンから手を離すと機体が水平になります。
 

▲ホバリングしているAr.Drone
 
左下と右下のボタンの間にある奇妙なマークは、離着陸ボタン。
これを押すとモーターが回転し始め、4つのモーター全ての回転数が安定したら勝手に上昇。1メートルほどの高さで空中停止します。
飛行中にこのボタンを押すと、その場でゆっくり着陸します。
 
 
こんな事が可能なのは、底面に超音波センサがあり、機体と地面との距離を常に計測しているからです。
ラジコンヘリで難しいホバリングと着陸が自動で出来てしまう訳です。
 

▲Ar.Drone底面のセンサー類(左が機首側)銀色の円は超音波センサー。中央はカメラ。
 
Ar.Droneには前方と下方を写すカメラがついており、カメラが見た映像はほぼリアルタイムでiPhoneに送られてきます。(フレームレートが低く、あまりスムーズな映像にはなりません)
 
2010/10/8追記
操縦アプリとファームウェアのアップデートが提供されました。これでフレームレートが大幅に向上。カメラだけを頼りに飛ばすのも問題有りません。
追記ここまで

そのため、前方カメラの映像を頼りにAr.Droneを飛ばすと、ハチにでもなったような気分になれます。
着陸するときは、底面のカメラ映像に切り替え、着陸場所の真上に来てから離着陸ボタンを押すと安全に着陸できます。
 

▲機首のカメラ
 
大きさは、プロペラの保護用の機体を付けた場合約50cm四方です。
慣れるまでは、狭い部屋で飛ばすのはちょっとキツイかな。
 

Ar.Droneのフライト (超音波高度計のおかげで、上昇下降の操作をしていないのに斜面と平行に飛行している)
 

Ar.Droneの超音波高度計の性能 石段に向けて突っ込ませても、自動的に高度が上がり石段と平行に移動している (Outdoor FlightをOFFに設定しています。ONだと石段に突っ込みます。)
 
仏間で飛ばしたときは、壁に当たって跳ね返ったAr.Droneが仏壇に突っ込んでしまいましたし、和室によくある電灯のヒモがプロペラに巻き込まれて墜落というのもありました(プロペラが割れなくて良かった)。

応接間で飛ばしたら、テーブルマット(薄い布)や書類、メモ用紙が飛ばされ、後片付けが大変でした。
 
テーブルやソファーがあると、その上に来たときに勝手に上昇します。これは、前述したとおり超音波センサを使って高度を一定に保つ機能があるからです。

天井近くまで上げた状態で飛行させると、テーブルの上にさしかかると勝手に上昇し、天井に激突ということになります。
 
物が多い室内で飛行させるときは、ある程度低いところ(低すぎると風で色んな物が飛ばされる)をゆっくり飛行させないといけません。
 

▲飛行中は前方2つのモーター部分は緑色に光り、後方2つのモーター部分が赤色に光りる。これにより、前後の識別はしやすくなっている。
 
プロペラの回転に抵抗が加わったり、壁にぶつかって機体の角度が水平から大きく外れた状態になった場合は、自動的にモーターが停止してその場に落ちるようになっていますから、よほどのことをしない限り、機体を壊すような事故は起こらないでしょう。
 

▲屋外用のカバーを取り付けた状態
 

▲屋内用カバーと屋外用カバーの比較
 

▲屋内用カバーは、墜落により破損することがある(写真でヒビが見える場所は完全に断裂している)
 

▲壁等にぶつかるとカバーがたわみ、プロペラが内側をこするためこのような傷も付く
 
安全に飛ばせるように、とにかく細かいところまで気を遣ってデザインされています。
 
気になるフライト時間ですが、満充電のバッテリーを使い、時々着陸させながら実測してみたところ、13分経過後、バッテリー残量不足で飛行できなくなりました。
普通に遊んでいれば、常に飛ばしっぱなしにはならず、時々着陸させて飛行ルートを考えたり、手に持って移動させ、別の場所から離陸させたり、木の枝にプロペラが当たって墜落(モーター停止)、という使い方になると思います。その場合では12~13分遊べますが、常に飛ばしっぱなしにすると、遊べる時間は短くなります。
 
バッテリーを複数用意しておけば長時間遊べそうですが、モーターやバッテリーの負担を考えると、休み休みフライトをさせた方が良いでしょうね。
iPhone側のバッテリーですが、普段は明るさを最低限に抑えている私のiPhone(バッテリーはへたり気味)の明るさを8割くらいまで上げて操縦に使用したところ、Ar.Droneのバッテリーが空になるころにiPhoneのバッテリー残量は約10%減っていました。
iPhone側のバッテリーは、さほど気にしなくても良さそうです。

iPhoneでカメラ映像を見ながら操縦でき、コンピュータにより安全に飛行できるよう制御されたラジコンヘリ(クアドリコプター)、Ar.Drone。
 
車のラジコンにカメラを搭載して走るだけでもずいぶん楽しいのに、空を飛ぶラジコンにカメラが搭載されていたら、その楽しさは車のラジコンとは比較になりません。
 
カメラや超音波センサ(高度計)を搭載し、ARMのCPU(468MHz)でLinuxを走らせて制御されているAr.Droneは、ラジコンと呼ぶには申し訳ないかも知れません。空飛ぶコンピュータです。
それが定価でも4万円台前半という良心的な価格設定。
 
こういう遊び心にあふれた製品が、高品質・低価格で手に入るなんて、幸せな時代です。
 
これを安全に持ち運べる専用ケースは販売されないのかなぁ。いつまでも購入当初の段ボール箱を使うわけにもいかないし・・・(段ボール箱だとすぐボロボロになる)