播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

姫路港艦艇一般公開(多用途支援艦げんかい)

今週末は、姫路港で海上自衛隊の多用途支援艦げんかいの一般公開と体験航海が実施されます。
「戦う船」ではないので魅力を感じず、体験航海には応募しなかったのですが、今日は昼頃に所用があるだけで、それ以外の時間が暇だったため、自転車で姫路港へげんかいを見に行ってきました。

 


艦名:AMS 4304 げんかい
就役年月日:平成20年2月20日
所属:呉地方隊
全長:65m
全幅:12m
基準排水量: 980トン
主機関:ディーゼル機関(5000馬力)2基・2軸
速力:17ノット
乗員:47名
※参照元:海自のパンフレット

 

本日の一般公開は13:00~16:00。
用事を済ませて昼ご飯を食べ、吉本新喜劇をテレビで見てから自転車で自宅を出発(14:05)。私の自宅からであれば、姫路港に行くには県道62号線(通称産業道路)をまっすぐ南下するだけです。
姫路リバーシティーのある交差点から先は道が狭くなりますが、道なりに進んで飾磨臨海大橋の下をくぐり、港ドーム(飾磨駅跡地)を右手に見ながらコの字型の道に沿って進めば、姫路港のフェリー乗り場。そこからさらに南に進めば、突堤の中程に停泊している灰色の船体が見えます。

 

港町らしい景色を楽しみながらのんびり走り、途中フェリー乗り場でトイレを借りて姫路港飾磨埠頭4号岸壁に到着(14:45)。

 

見学者が少ないらしく、駐車場はガラガラ。
船の左舷後部にタラップがあり、そこへ向かうとずいぶん丁重に迎えて頂き、見学者一組につき一人、自衛官がガイドとして付き添ってくれている様子。
これは私たち見学者にとっては有り難い(分からないことをその都度聞ける)ですし、自衛隊側からすると、防犯上都合が良いのでしょう。

 

私の前の見学者(二人組)には若い女性自衛官が付いていましたが、私(単独)には若い男性自衛官がガイドとして付いてくれました。
見学者が多いときはどうやって対応するのかな。

 

タラップを渡ると、後部甲板に乗り込むことになります。
そこには制服の試着コーナーや、防弾ベスト、ヘルメット、消防機材の展示(自由に触れる)があり、一通り説明を受けたら、自衛隊の船ではお馴染みの急な階段を上ります。

 


▲後部甲板から前方を見た様子(右下の階段でクレーンのある中段へ上がる)

 

この中段には、複合作業艇(船体がFRP、周囲がゴムボートのような船)とデッキクレーン(荷物等の積み卸しをするためのクレーンで、折りたたんで収納されている)があります。

 


▲右舷側に搭載されている複合作業艇(左舷には内火艇がつり下げられている)

 

さらに階段を上ると、狭いですが空間があり、信号旗が並べられています。
信号旗はアルファベットの文字全てと数字を1枚が1文字を表す旗で、どのデザインがどの文字を表すかは国際的に決まっています。

 

船乗りは皆知っているのかと思いましたが、私を案内して下さった隊員さんは詳しくないとのことでした。
旗が収納してあるラックには、その旗が何を表すのかを示すマークが付いているので知識のない人でも目的の旗を見つけることが可能です。
でも、一度使った旗を収納するには、どの旗がどの文字なのか知っている必要があります。この作業を担当している隊員なら、信号旗をデタラメに収納しても、10分あれば全て元に戻せるそうです。

 

信号旗の並んでいる上には太いパイプが通っており、これは中で海水が移動し、船体の揺れを抑えるための設備とのこと。名前は減揺(げんよう)タンク。(最初に説明を聞いた時は燃料タンクに聞こえてしまいました)

 


▲赤線が今回の見学順路(左奥は防弾装備や消防機材の展示)

 

さらに階段を上ると、操舵室です。操舵室の横には、羅針盤と双眼鏡(20倍)が設置されています。

 

操舵室を見て驚きました。
船を操るのは円形の舵輪だと思っていたのに、この船の舵輪(?)は航空機の操縦桿のような形をしています。

 


▲げんかいの操舵設備(舵輪の前にある大きな計器はコンパス)

 

レーダー画面には鮮明に姫路港の輪郭が写っていました。

 


▲レーダー画面に表示された姫路港(中央が自船(げんかい)の位置、中央付近の黒い部分が海面)

 

操舵室の上が最上部になっていて、そこにはアンテナマストや放水銃、12.7mm機関銃のマウントが2つ設置されています(1つはマウントのみ、もう1つには12.7mm機関銃が設置されていた)。

 


▲12.7mm機関銃(米軍ではM2と呼ばれているマシンガン)を構えたときの視界。防盾の隙間を通して対象を見るため、視野は狭い。対空用の簡易的な照準機が付いているのかと思ったら、精密なピープサイトでした。

 

このマウントには「MINIMI」と書かれた穴が開いていたので、固定用のピンをそちらの穴に通せば、MINIMI機関銃も使えるのかも知れません。

 

再び操舵室に戻り、船内を案内してもらいます。
操舵室の次はその反対側にある標的管制室。ここにはCanonの家庭用プリンタがありました。隊員さんに聞くと、「うちは全部Canonですよ」とのこと。
手すりなしでは怖い急な階段を下りるため(両手をあけるため)にカメラを鞄にしまっていたため、写真を撮っておらず、プリンタ以外は印象に残ってないので、管制室の様子が思い出せない・・・。

 

続いて制御室。
ここでは船の各部の状態を監視し、必要に応じて船の制御を行うようです。
平成20年に就役したばかりの船なので、操作パネルの液晶画面はタッチパネルになっていました。

 


▲制御室の操作パネル(左端の液晶画面は各部の動作状態や駆動時間を表示するタッチパネル。右側の計器は船の各部の状態を表示している)

 

制御室には、各部の火災状況や浸水状況が分かる監視盤もありました。

 

次は医務室。その次は10名しか座れない食堂。

 


▲食堂

 

この後は、げんかいオリジナルグッズが売られている小さな部屋で買い物をし、船の外へ。

 

船を下りたのが15:20頃でした。

 


▲船を下りてから見上げたデッキクレーン(最初は何かのランチャーに見えた)

 


▲船を下りてから見上げた内火艇

 


▲駐車場に展示されていた偵察用オートバイと82式指揮通信車

 

「戦う船」ではない(訓練の支援をする船)ので戦闘艦艇が好きな方にとっては魅力がないと思いますが、普通の護衛艦にはないような設備が色々とあるので、思った以上に楽しめました。