播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

日本原駐屯地でチャイコフスキーの「1812年」を聴く

今日は岡山県にある日本原駐屯地へ、同駐屯地創立44周年記念行事を見に行ってきました。
記事中の写真は少ないですが、文末のリンクからオンラインフォトギャラリーへ飛んでいただくと、私が本日撮影した他の写真をご覧いただけます。

 


▲駐屯地内のレイアウト(駐屯地へ入るには、幹線道路から青線の道路を通り、陸橋を渡って行く必要があります)

 

駐屯地前の道路に「記念行事→」などと書かれた看板があり、隊員さんも立っていますので、迷わず駐車場へ入れました。

 

9:20
駐車場(地図中「P」)を出発。人の流れを辿ると、記念行事が行われるグラウンド(地図中「グラウンド(訓練展示・装備品展示)」)へ行けます。

 

入口に近い側はすでに人で埋まっているので、入口からもっとも遠い観閲台の左(東)側の土手の上に陣取りました。
ここならグラウンド全体がよく見渡せますし、観閲行進する車両が目の前で停車(出発待ち)してくれます。

 

9:40
各部隊が行進してグラウンド内に整列を始めました。
そして、9:58、記念式典が始まりました。

 

どこの記念式典も同じですが、VIPの挨拶が続き、祝電披露や駐屯地に貢献した方々の紹介が行われます。
興味がないので、写真は撮っていません。

 

この記念式典中、演習場からはマシンガンの射撃音が聞こえていました。それだけではなく、突然「シュゴー」というロケット弾か何かを発射したような轟音も聞こえました。記念式典の日にまで訓練?

 

10:51
あまり関心を持っている人が多くなさそうな記念式典がようやく終わり、隊員がグラウンド後部に駐車していた車両に乗り込みます。

 

私にとっては、ここからが記念行事です。

 

まずは防府に駐屯する第13飛行隊のヘリコプター2機(OH-6とUH-1各1機)が航過飛行を行います。次いで、各部隊の幕僚が乗った1/2トントラック、155mmりゅう弾砲等が続々と観閲行進。最後は74式戦車が轟音を上げて通過します。
戦車の走行音はすさまじく、アナウンスされている部隊名も何も聞き取れません。

 


▲轟音を立てて通過する74式戦車

 

11時過ぎに観閲行進は終了。

 

11:05
続いて、銃剣道のデモンストレーションが行われました。
この駐屯地のチームは、大会7連覇を成し遂げたそうです。

 

銃剣道は初めて見ましたが、突きがメインの剣道といった感じです。デモを見る限り、突く場所は胸が多いようです。

 

11:15
音楽隊がトラックに乗ってやってきました。これこそ、私がはるばる日本原駐屯地まで来た理由です。
チャイコフスキーが作曲した「1812年」。これの楽譜には、「大砲」を鳴らすよう書かれているのです。

 

音楽隊と大砲の両方が使えるのは、日本の場合自衛隊だけでしょう。つまり、チャイコフスキーが意図した本来の演奏を聴けるのは、こういった自衛隊の記念行事くらいなものです。

 

まずは「アメリカ野砲隊」が演奏され、その間に105mmりゅう弾砲3門がトラックに牽引されてグラウンドに入ってきます。
観閲行進で155mmりゅう弾砲(FH70)を見ているので、観客からは「小さい大砲やねぇ」という声が聞こえてきます。
確かにコンパクトで軽量なので、操作は全て人力。しかも、操作人員が少なくて済みます。

 

「アメリカ野砲隊」の演奏が終わるまでに105mmりゅう弾砲の準備は完了。
いよいよ「1812年」の演奏です。

 

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/files/nihonnbara20091024.zip
上のURLから、演奏をリニアPCMレコーダーで録音したデータがダウンロード出来ます。
ファイルはZIP形式で圧縮されており、ファイルサイズは76MBあります。

 

大砲の音が凄いだろうと思い、録音レベルを低めにしてあるため、再生時の音量にはご注意下さい。
音が小さいからと音量を上げておくと、大砲の発射音が鳴る時にびっくりする事になります。

 

砲声は建物に反響して山彦のように聞こえますし、発砲直後に会場のスピーカーが「キーン」と鳴るため、大砲の発砲と音楽が合っているかどうかはよく分かりません。

 


▲演奏中の大砲(105mmりゅう弾砲)

 

11:30
大迫力の演奏が終了し、訓練展示のために消防車が水をまきに来ました。砂埃が立つのを防ぐためでしょう。

 

消防車がグラウンドから出ると、オートバイ用のジャンプ台やススキを束ねた「茂み」がグラウンドに置かれ、仮想敵を演じる「赤い星を貼った74式戦車」とFH70がグラウンドの西端に展開を始めました。

 

訓練展示のシナリオは、日本原に敵武装勢力が陣地を展開、それを発見した自衛隊が偵察で敵の全容を調べ、155mmりゅう弾砲で敵陣地をたたいてから戦車で突撃、制圧するというものです。

 

以下のURLからMP3ファイルをダウンロードして頂くと、訓練展示の一部始終を録音した音声をお聞きいただけます。ファイルサイズは24.2MBです(リニアPCMレコーダーで録音したWAVファイルをエンコードしたものです)。

 

 

一般的なシナリオで、姫路駐屯地をはじめ、他の駐屯地でも同じようなシナリオを見ることは出来ますが、ここの凄いところは、発射する空砲の数が多いことです。

 

FH70が合計6門、74式戦車が3輌、主砲をぶっ放します。小さな子どもさんは、泣かずにいられません。

 


▲空砲を発射する瞬間のFH70

 

私にとって初めての経験は、ヘリからの射撃があったことです。
UH-1のドアを開け放ち、ドア付近に取り付けた機銃で仮想敵を攻撃していました。

 


▲ドアガンで仮想敵を攻撃するUH-1の乗員

 

11:55
大迫力の訓練展示が終了しました。
これだけの迫力を味わったのは、今回が初めてです。「1812年」の演奏も聞けた(というより全身で感じた)し、大満足。

 

この後は装備品展示ですが、訓練展示で使った車両がグラウンドから出て行きませんし、隊員達が何やら四つん這いになってグラウンドをウロウロしています。
どうも装備品を紛失したらしく、それを全員で探しているようです。よほど小さな物なんでしょうが、物品管理が厳しい自衛隊では、紛失なんて許されません。
他の国の軍隊では考えにくいですが、自衛隊は(平時では)薬莢やミサイルの誘導用ワイヤーも全て回収するそうです。

 

30分ほど経過したら、隊員達から拍手と歓声が上がりました。捜し物が見つかったようです。
これでグラウンドの車両が全て撤収できます。

 

グラウンドには展示用のUH-1とOH-6が着陸し、隊員達がリヤカーで運んできた説明用の看板がグラウンドに並べられ、その看板の位置に各車両が駐車していきます。

 

装甲車両は音がうるさいので、声でドライバーに指示を出すことが出来ません。そのため、手信号で合図を送っていました。微妙な動きも指示できるようなので、自衛隊だけでなく、民間に広まれば便利そうです(トラックやバスの誘導に使えそう)。

 

12:45
装備品展示が始まりました。
装甲車両は当然人気がありますが、やっぱり銃器の展示が一番人気。
みんな嬉しそうに自動小銃やけん銃を構えて写真を撮ってもらっています。

 


▲装備品展示の様子

 

私は78式戦車回収車を初めて見たので、こいつの周囲をウロウロ。
他は特に目新しい物はありませんでした。

 

帰り際、ミュンヘン(地図中「ミュンヘン」)という建物に立ち寄りましたが、ここはなかなか面白い展示がたくさんありました。
旧日本軍の制服や軍刀、ゴビゴビに錆びた薬莢や砲弾の信管(使用済)、日本兵の持ち物が展示されている日本軍セクションと、現用装備が展示されている自衛隊セクションがありました。
自衛隊セクションの糧食展示には、私が以前ブログで紹介した「ボーディング・アウト」も展示されていました。

 


▲ミュンヘン内の展示(写真は旧日本軍セクション。自衛隊セクションもあります)

 

最後は売店(地図中「売店」)に寄って少しだけ散財。

 


▲模擬店の様子。左の建物内に売店がある。(ピークを避けて写真を撮ったので、人が少ないように見えています。昼ご飯時はもっと混雑していました。)

 

今日は大満足。遠路はるばる来たかいがありました。