水平方向360度のパノラマや、天地も含めた周囲全体を写したパノラマ画像(キュービックVR)を作成するときに私が使用している、パノラマ撮影用の雲台を紹介します。
▲全天球パノラマの例(拙作):画像をドラッグすると、天地も含めて全方位の景色を見ることが出来ます。
こんなパノラマ画像を作るには、写真を結合するためのソフトや魚眼レンズの他に、レンズの節点(Nodal Point)を同じ位置に維持したままカメラを回転させるための雲台が必要です。
製品名:Nodal Ninja 3 MkII
メーカー:Fanotec.
重量(実測値):654g(ケース、予備Detent Ring込みのフルセット)、452g(Nodal Ninja 3 単体)
定価:$279.95(ケース付フルセット)
メーカー:Fanotec.
重量(実測値):654g(ケース、予備Detent Ring込みのフルセット)、452g(Nodal Ninja 3 単体)
定価:$279.95(ケース付フルセット)
これを購入するまでは、私はカメラを持ったまま体全体を回転させて撮影していました。
パノラマ写真を作成するときは、写真を結合しやすくするために、写真の端の2~3割をダブらせて撮影します。つまり、2枚の写真に同じ場所が写ることになります。
パノラマ写真を作成するときは、写真を結合しやすくするために、写真の端の2~3割をダブらせて撮影します。つまり、2枚の写真に同じ場所が写ることになります。
ところが、体ごとカメラの向きを変えて撮影した写真だと、この「ダブって写っているもの」が同じにはならないのです。たとえば、山頂の標柱と背後の木の重なり具合が、写真によってバラバラになってしまいます。(視差が生じる)
上の図を見て下さい。「1」の位置で撮影すると、カメラの右前方にある2本の木(2つの丸い茶色の点)が重なり、木が1本しか写っていない写真になります。
ところが、体を回して「2」の位置で撮影すると、2本の木が両方とも写ることになります。
三脚にカメラを付けて回転させても同じ事です。三脚の回転軸から離れたところをレンズの節点が通るため、体ごと回して撮影するのと変わりません。
このような重なり具合のズレを防ぐために、パノラマ撮影用の雲台は存在します。
カメラのレンズには節点と呼ばれるものがあり、レンズを通って入ってきた光が収束する点のことを言うそうです。
カメラのレンズには節点と呼ばれるものがあり、レンズを通って入ってきた光が収束する点のことを言うそうです。
この節点をパノラマ撮影時のカメラの回転軸と重なるようにすれば、きれいなパノラマ写真が作れるとのこと。
レンズによって節点の位置が異なるため、雲台には調節用の機構が搭載されています。
他社製品もそうですが、Nodal Ninjaの場合も、カメラとレンズの組み合わせによって、どこを何ミリに合わせればよいかがWebサイトに紹介されているので、非常にありがたい。専門的な知識や試行錯誤なしで、レンズの節点と雲台の回転の中心とを合わせることが出来ます。
私自身もよく分かっていませんが、何せサイトに書かれている情報通りに設定したNodal Ninjaを三脚にセットし、カメラを取り付けて撮影すれば、近景も遠景もきれいに整ったパノラマ画像が作れるわけです。
パノラマ撮影用雲台の役割は、すでに書いた通りレンズの節点と三脚の回転軸を一致させることですが、もう一つ、「一定の角度ずつカメラを回転させる」という役割も持っています。
これを実現するために、Nodal Ninja 3 の場合は、一定の角度ごとにくぼみが付けられた円盤(Detent Ring)を使います。
雲台を回すとき、このへこみの位置に来る度に、「カチッ」とまでは行きませんが、「カコン」くらいの感触で雲台が止まります。
雲台を回すとき、このへこみの位置に来る度に、「カチッ」とまでは行きませんが、「カコン」くらいの感触で雲台が止まります。
Nodal Ninja 3 MKIIの場合、Detent Ringは2本の樹脂製イモネジで固定されています(小さめのマイナスドライバーが必要)。屋外でこれの交換作業をするのはちょっと辛い(イモネジ紛失、可動部への汚れの付着の危険がある)ので、私は60度単位のリング以外は使っていません。
Nodal Ninja 3 MKIIには、専用のセミハードケースが用意されています。
私の使っているNikon D40 + AF DX Fisheye Nikkor ED 10.5mm F2.8Gの組み合わせでは、周囲の他に天地も撮影する必要があります。
私が使っているカメラとレンズの組み合わせの場合は、下の写真のように、カメラをNodal Ninja 3に付けたままの状態で真上に向けることが出来ます。
カメラやレンズの種類によっては、カメラ本体がNodal Ninja 3 のローテータ部分に当たり、レンズを真上に向けることが出来ないので注意が必要です。
私が使っているカメラとレンズの組み合わせの場合は、下の写真のように、カメラをNodal Ninja 3に付けたままの状態で真上に向けることが出来ます。
カメラやレンズの種類によっては、カメラ本体がNodal Ninja 3 のローテータ部分に当たり、レンズを真上に向けることが出来ないので注意が必要です。
▲真上を撮影するときの状態。レンズやカメラのサイズによっては、カメラ本体とNodal Ninjaのローテータがぶつかる可能性がある。
(注)大型のカメラやレンズだと、Nodal Ninja 3 MKIIでは対応出来ません。
Nodal Ninjaは他社製パノラマ撮影用雲台と比べると段違いに安価ですが、趣味で使用する上では全く問題ない精度と耐久性を持っています。
カメラをNodal Ninjaに取り付けるには、ネジを締めないといけない(クイックシューのような機構ではない)のが不便ですが、精度と耐久性、重量、コストを考えると、シンプルなこの機構が良いのでしょうね。
カメラをNodal Ninjaに取り付けるには、ネジを締めないといけない(クイックシューのような機構ではない)のが不便ですが、精度と耐久性、重量、コストを考えると、シンプルなこの機構が良いのでしょうね。
なお、カメラとNodal Ninja 3は直接連結できず、カメラ側にマウントを取り付ける必要があります。このマウントには三脚穴があいているので、このマウントを付けたまま問題なくカメラを使うことが可能です。(カメラ底部のマウントが出っ張るのが気になるかも知れませんが・・・)
撮影中、ローテータのネジがゆるんでガタついてくることもありますが、サイズと重量を考えると、カメラやレンズが対応出来るのであれば、Nodal Ninja 3 MKIIは山歩きに最適なパノラマ撮影用雲台かも知れません。
Webを検索してみると、このような高価な既製品を使わず、パノラマ撮影用雲台を自作されている方もいらっしゃるようです。また、80ドルを切る低価格な製品(製品名:The Panosaurus)も売られています。
興味のある方は、色々と検索してみて下さい。