播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

Bruntonのアドベンチャーレース用コンパス

今回は、SilvaやSuuntoのような有名どころではなく、ちょっとマイナーなブランドのコンパスを紹介します。
一目見て「かっこいい!」と思って衝動買いしてしまいました。

 

 

製品名:8096 Adventure Racing Compass
メーカー:Brunton(アメリカ)
重量:約47g
定価:$40 USD

 

一般的なプレートコンパスと違うのは、方位磁針の入っているダイヤル部分です。

 

通常は棒状の磁針が入っており、ダイヤル底面には赤黒2色のラインが何本も引かれています。ところが、このコンパスはダイヤル部分が非常にすっきりしています。

 

磁針は棒状ではなく透明な円盤。ダイヤル底面のラインも中央に1本あるだけ。

 

Bruntonのコンパスでは、北を表す円盤の赤丸と、ダイヤル底面に書かれている青い円を重ねるという方法が採用されています。

 


▲Brunton社のコンパスに共通している、円を重ねるタイプの磁針。

 

このように2つの円を重ねるというスタイルだと、ダイヤルと磁針が揃っているかどうかが一瞬で分かります。
でも、好き嫌いは分かれそうです。



方位角を読み取りやすくするために、目盛りの読み取り部は凸レンズになっています。
民生用コンパスとしては珍しく、目盛りは1度単位で打たれています。

 


▲凸レンズで数字が拡大されるので、方位角が読みやすい。



他社製品同様に、磁北と真北の偏差を補正する機能も付いています。
この磁針偏差を調整するときは、工具は不要です。コンパスを裏向けて、磁針が入っているカプセル部分を回して補正用の目盛りに青いラインの先端を合わせるだけ。

 

ただ、私の場合は地形図に磁北線を引いているので、このような補正機能は全く必要ありません。

 


▲ダイヤルの裏面にある、磁針偏差の補正用目盛り



地図上に位置をプロットしたり距離を測定したりしやすいように、プレートには様々な縮尺用のスケールがプリントされています。

 


▲ほとんどがアメリカの地図の縮尺用ですが、日本で使える1/25000と、1/50000用のスケールもあります。

 

面白いことに、上の写真で右側に見えている定規は、インチとセンチのリバーシブルになっています。
つまり、この定規は脱着可能で、使いたい面を上に向けて付け直すだけで、センチとインチの使い分けが可能なのです。

 

上の写真で左側に開いている円は、地形図上に特定の直径の円を描くときに使うテンプレートです。
たとえば、GPSで位置座標を知り、地形図上にプロットした後、このテンプレートでその位置を中心とした円を描きます。1/25000地形図上で直径100mの大きさになる円を描くテンプレートで円を描いておけば、GPSの測位誤差が50mとなっている場合、自分がその円内のどこかにいるということが分かるわけです。

 

ただし、このテンプレートは、最近のGPSを持っている人なら必要ありません。GPS本体に地図が表示されますし、誤差の範囲も円でGPSの画面に表示されますからね。



さて、一通りこのコンパスの機能を紹介しましたが、次に欠点を3つ挙げておきます。

 

まずは大きくて持ちにくいということ。普通のSilvaやSuuntoのコンパスよりも少し大きいので、あれらのコンパスを使い慣れている人にとっては、ちょっと扱いづらいかも知れません。

 

二つ目は、コンパスの片側しかまっすぐになっていないため、地図上に置いて使うときに不便だという点。
両側がまっすぐになっていればもっと使いやすいのですが、コンパスを手に持っている時間が長いアドベンチャーレース用のコンパスということで、持ちやすさを優先したのかも知れません。両側をまっすぐにすると、手に持ったとき、今以上に大きく感じることになりますから。

 

三つ目の欠点は、ダイヤル底面がすっきりしすぎているため、地形図上に置いて使う場合に、コンパスのダイヤルと磁北線の向きを揃える作業が難しいということ。
この問題を解決するために、ダイヤル底面に引かれている青いラインの両サイドに、自分で赤いラインを引きました(下写真)。

 

きれいに仕上げるために、以前紹介したカッティングマシンとマスキング用カッティングシートで幅0.5 mmのラインが引けるようにマスクを作り、スプレー塗料でラインを入れました。

 


▲コンパス全体の画像(ダイヤル底面の赤い2本のラインは私が独自に引いたもので、デフォルト状態の製品にはありません。)



画像では分かりませんが、このコンパスはベースプレートが他社製品よりも分厚いです。
その分、耐久性は高そう。私は一般的なプレートコンパスを落としてヒビを入れてしまったことがあるので、こんなに分厚いプレートを見ると、安心して使えます。
でも厚みがある分、重さが増えるので、落下したときの衝撃も大きくなる・・・つまり、やっぱり落とすと簡単に割れるのかな。

 

それはともかく、プレート型コンパスとしての機能は一通り備えた上で、凸レンズや(私は使いませんが)工具不要の偏差補正機能、GPSのEPE(Estimated Position Error)を分かりやすくするためのテンプレートが付いていて、円を重ねるという変わった発想の磁針が採用されており、なかなか面白いコンパスです。
SilvaやSuuntoのプレート型コンパスと比べても高級感があり、私の感覚では所有欲も満たされています。