播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

高山病対策?:パルスオキシメーター

酸素バーや酸素カプセルとかいう、マイナスイオンやゲルマニウムと同様のうさんくささを感じるお店がそれなりの注目を集めていたようですが、今はもう落ち着いているのかな。

 

そういうお店によると、「酸素が不足している現代人に新鮮な酸素を提供する」のだとか。そんな馬鹿な。現代人なら多くの人が高等学校卒以上の教育を受けているはずで、そんな理屈を真に受けるとは思えませんが・・・。「酸素が不足している?」意味が不明です。「新鮮な酸素?」酸素に新鮮も古いもあったもんじゃありません。おまけに香油も一緒に吸引させているお店もあるそうで、そんなことをしていると肺にダメージを与えかねません。
まぁ、「怪しさ爆発」という意味で話題になっていたのだと思っておきましょう。

 

そんなアホらしいお店でも使われている、動脈血の酸素飽和度を測定する道具を紹介します。

 


製品名:パルスオキシメーター Ubi-x BL/Y
メーカー:ユビックス株式会社(日本)
重量:約35g
電源:CR2032
表示項目:血中酸素濃度、脈拍数、電池残量警告
クラス分類:管理医療機器,特定保守管理医療機器
定価:¥60,000(実売:¥50,000弱)

 

指を挟むだけでSpO2(酸素飽和度)を測定してくれる装置です。
「針で血を出して測定するのかな?」と心配する方がいらっしゃると思いますが、血は出ません。
(注:医療現場で血中の酸素濃度を測定するときは、血を採る場合もあるようです)

 

弱いバネの力で軽く指を挟むだけなので、痛みも何も感じません。数秒待つと、酸素飽和度と脈拍数が表示されます。スイッチ類は何もありません。指を挟むとスイッチON、指を抜くとOFF。暗い場所で測定すると、液晶のバックライトが自動的に点灯する優れた設計(型番に「BL」が入っているモデルのみ)。

 


▲指に挟んだ状態。サイズはコンパクト。98というのが私の血中酸素濃度で、74は1分あたりの脈拍数を表しています。

 

ヘモグロビンが酸素と結びつくと、色が鮮やかな赤色へ変わります。そのために動脈血は赤く、静脈血はどす黒く見えるわけですが、この色を分析してどの程度のヘモグロビンが酸素と結合しているのかを調べるという原理です。ですから、血糖値の測定のように血を出して測る必要はありません。

 


▲赤色LEDが光っているのが分かりますか。この光の透過率で血中酸素濃度を分析します。

 

さて、これを何に使うかという問題ですが、高い山に登るときに使いたいなと考えています。
私が歩いた山の最高峰は、兵庫県内最高峰の氷ノ山です。この山で標高が1,500mほどしかありません。2~3千メートル級の山に登ったことがないので、自分の体に高山病の症状が出やすいか全く分かりません。

 

もしそういう山に行く機会があれば(本当にそんな機会が来るのだろうか)この道具を持って行き、「おかしいな」と感じたときにすぐ酸素飽和度を測りたいと思っています。高山病(血中酸素濃度の低下)による症状なのか、単なる疲れなのかが判別出来るので、下山すべきか休憩するだけで良いのかが判断できます。
(注:標高ごとの酸素飽和度の平均値が公開されているので、体調が悪くなった時、その数値と自分の数値を比較して極端に数値が低ければ「やばい」と判断できそうです)

 

私にとっては、山歩きは苦行や修練ではなく単なる気分転換の趣味ですから、高山病の症状を我慢してまで登り続けたいとは思いません。(最近報道されましたが、中国南部の高地などで、無理した結果高山病で命を落としている日本人がちらほらいるようです)

 

さて、こんなまともな機械が最初に書いた酸素バーのようなお店でどんな風に使われているのかというと、酸素吸入後にパルスオキシメーターで酸素飽和度を見せているそうです。吸入前に測定せず、吸入後にだけ数値を見せるというのがポイントですね。
激しい運動をした直後でもない限り、標高の低い場所では酸素飽和度が98%ほどありますから、吸入前に測定してみせれば、酸素吸入が無意味だとばれてしまいます。(吸入直後なら100%になるかも知れませんが、2%ほどのアップで納得するのかな?)
これを持って酸素バーに行き、吸入前に店員さんの前で測定してみたら、どんな反応を見せるのか気になります。