播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ネットワーク担当には必需品:FLUKE networks社のLinkRunner

今回紹介するのは、自宅内や企業内ネットワークで障害が発生したときに役立つ小型で携帯性の良いネットワークテスターです。

 


製品名:LinkRunner Network Multimeter
メーカー:FLUKE networks(アメリカ)
本体サイズ:幅 6.98 cm x 高さ 9.52 cm x 奥行 3.17 cm(カタログ値)
重量:128g(電池込)カタログ値
電源:単3形乾電池x2本
定価:不明(実売価格は6万円台~7万円台)

 

写真で見ておわかりいただけるとおり、非常にコンパクトで障害が発生している現場へ持って行くのが苦になりません。
ノートパソコンだと重いし、落としたり衝撃を加えると大変だし、バッテリーの充電状態を気にしておかないといけないので大変ですが、このリンクランナー(LinkRunner)ならポケットに入れて現場へ持って行けます。

 

「ネットワークにつながらない」と連絡があった場合の原因は色々あります。
たとえば、パソコン側の設定ミス。DHCP環境で勝手に固定IPアドレスを振っていたり、IEのプロキシ設定で存在しないプロキシサーバを設定していたりという初歩的な原因なら、何のツールも無しで簡単に解決できます。

 

やっかいなのはケーブルの不良やスイッチングハブ、LANカード(NIC)の故障です。
ケーブルの不良なんて見ただけでは絶対分かりませんし、スイッチングハブの一部のポートだけが壊れていたり、LANカードが壊れている場合は、なかなか原因が分からず困ります。

 

そんな時にリンクランナーがあれば便利です。

 

障害が発生している現場に着いたら、まずは端末の設定確認。設定に問題がなければ、端末からLANケーブルを引っこ抜き、リンクランナー上面にある「LAN」ポートにケーブルを差し込みます。

 


▲リンクランナー上面のLANポートとMAPポート

 

ケーブルの反対側の端がスイッチや情報コンセントに刺さっていない場合は、次のような表示に変わります。
この場合、解決は簡単。抜けているケーブルを差し込むだけで治ります。

 


▲どこにもつながっていないケーブルの場合は、ケーブルの長さが表示される。

 

ケーブルに異常がありそうな場合(モールも無しで室内にケーブルが這わせてあるような場合)は、ケーブルの両端をリンクランナーに差し込むと、次の写真のような表示に変わります。敷設済みのケーブルの場合は、反対側の端にケーブルマップアダプタ(製品に付属)を接続すれば、同じようにケーブル内の配線をチェック出来ます。

 


▲この写真の場合は、2番の線がLANポートに差し込まれているジャック付近で断線していることが分かります。

 

ケーブルが正常で、電源の入っているスイッチングハブにつながっている場合は、次のように表示されます。

 


▲この写真の場合は、接続先のスイッチングハブが10/100メガ、ハーフとフルデュプレックスに対応しており(ハブの絵の右に表示)、実際は100メガ、フルデュプレックスで(ハブの絵の下に表示)、ストレートとクロスを自動判別するポート(リンクランナーとハブの絵の間の線の種類で表示)に接続されており、ネットワークの利用率(画面下の棒グラフ)はわずかであることが分かります。

 

スイッチングハブに接続されているものの、そのハブの電源が入っていない場合は、それを示す絵が表示されます。その場合は、ハブの電源を挿してやれば解決。

 

動作しているハブに接続されているという表示が出でおり、端末側の設定も正しい場合は、端末のLANカードの故障を疑うことが出来ます。LANカードの故障を調べる場合は、リンクランナーを端末のLANカードにつなぐだけ。リンクランナーのLinkランプが点灯しなければ、LANカードが壊れています。

 

今までの機能で解決できるのは、物理的な原因で発生したトラブルです。
物理的な原因の可能性を排除できたら、次はより高度な原因を調べていきます。

 

上の写真の画面では、右下に「PING」と書かれています。このボタンを押すと、DHCPサーバからIPアドレスを取得してくれます。
(DHCP環境ではない場合は、リンクランナーに固定IPを振り、ピングを打つ相手のIPアドレスを指定することが出来ます。)

 


▲この写真の場合は、DHCPサーバからリンクランナーに192.168.001.025というIPアドレスが割り振られ、DNSサーバがピングに正しく反応していることが分かります(画面内の「2/2」は、2回打ったピングが2回とも帰ってきたという意味)

 

DHCPサーバがない環境なのにPINGを打ったらIPアドレスが振られたという場合は、誰かが勝手に家庭用のルータか何かを同じセグメント内に設置していると推測できます。
逆に、DHCP環境なのにIPアドレスが振られなければ、サーバの設定に不具合がある、あるいはスイッチングハブの動作がおかしいことが推測できます。

 

以上の機能だけで、ちょっとしたネットワーク障害なら大抵は解決できてしまいます。

 

リンクランナーには、他にも便利な機能があります。それは、ケーブルが接続されているハブのランプを点滅させるという機能。
端末の多い環境(私の職場がそうです)の場合、この端末はハブのどのポートに刺さっているんだ?という疑問を解決しなければいけないことがあります。

 

そんなときは、端末からケーブルを抜き、リンクランナーを差し込んで下の写真のモードにします。

 


▲音符の絵がいくつか映っていますが、実際は1つの絵が左から右へアニメーションしていくだけです。シャッタースピードが遅かったため、複数の音符が映ってしまいました。

 

この状態でスイッチングハブのランプをじ~っと見ていると、一つだけ他とは違う点滅をするランプが分かるので、そのランプの番号のポートが端末の接続先だと分かります。

 

この時、ケーブル内にはアナログの音声信号も同時に流されます。これを別売のケーブルトレーサー(プローブ)で探知すれば、ランプが見えないような環境(散らかっている部屋に置かれたハブや、ランプとポートが異なる面にある安物ハブ)でもケーブルを特定することが出来ます。

 

企業でネットワークを担当している方にはお勧めです。
ちょっとしたネットワークトラブルなら、簡単に解決できる優れものですが、欠点もいくつかあります。

 

・値段が高いので会社に申請してもなかなか買ってもらえない
・ギガビットLANであっても、100Mとして検知する(ギガビットLANに対応していない)
・PoEを検出することが出来ない。
・802.1X認証の環境では使えない。
・ボタンが2つだけなので、操作が煩雑。
・ケーブル検出用の音声信号は、アナログ(1種類)のみ。
・リンクランナーが検出した情報は、メモを取るなどして記録する必要がある(本体にデータ記録用のメモリはない)。

 

まぁ、ギガビットLANやPoEを使っているような環境はまだそんなにないでしょうから、さほど問題はないかも知れません。

 

ちなみに、このリンクランナーは私物です。(職場には備品のがありますが、一つだけなので不便なんです)
このリンクランナーには上位モデルとしてLinkRunner Proという製品がありますが、それもまたいつか紹介しようと思っています。