播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

陸上自衛隊姫路駐屯地創立56周年記念行事

今日は陸上自衛隊姫路駐屯地の創立56周年記念行事が開催されました。
我が家から自転車で30分で行ける距離ですし、風邪もだいぶ良くなってきたので久しぶりに155mm榴弾砲の爆音を聞こうと思って出かけてきました。

 

午前11時20分からの訓練展示が私の目当てです。
訓練展示とは、空砲を発射して大迫力のデモンストレーションを見せてくれるイベントです。

 

駐屯地に着いたのが午前11時頃。乗用車が続々と駐屯地内へ入っていきますし、私の前を自転車で走っていた家族連れや子供達もみんな駐屯地の中へ吸い込まれていきます。

 

つまらない式辞は無視して訓練展示だけを見たいと思っていた不届き者は私だけではないようです。

 

前回来た時は門を入って右側に自転車を止めていたような記憶があるのですが、今回は入って左側が駐輪場になっています。

 

そこはちょうど観閲行進を前に整列している軍用車両の後ろ側。

 


▲駐屯地内のグラウンドに整列している155mm榴弾砲(FH70)

 

戦争や兵器というとヒステリックな反応を示す人も少なくありませんが、この姫路駐屯地はすぐ横に小学校と中学校があります。
私が小学生の頃は、自衛隊の車両が見られるこの学校に通いたいなと真剣に思っていました。

 

それはともかく、いつものことながら見学者は非常に多い。
実際に戦争を経験した老人達もいて、「ワシらの頃は・・・」と自分たちの軍隊経験を語り合っています。

 

若い女性や子供の数が多いのにも驚きました。隊員の親族でしょうか。

 

自衛隊の迷彩服を着た一般人もいましたが、これは単なるマニアですね。

 

観閲台は東西に長いグラウンドの北側中央付近に設けられており、スーツを着た来賓がずらっと並んでいます。
私はグラウンドの東端の中央付近に陣取りました。

 

車両が一斉にエンジンをかけ、排気ガスを吹き上げていよいよ観閲行進の始まりです。
グラウンドの南東隅から出発して時計回りにグラウンドの縁を走り、観閲台の前を通過して北西隅から出て行きます。
そのため、車両が出発するグラウンドの東端と、観閲台の前を通過するのを待つために車両が停止する北東隅付近は排気ガスで煙い煙い。

 


▲観閲台の前を通過する車両

 

何年か前までは74式戦車も行進に加わっていましたが、今年は指揮通信車や榴弾砲とそれを引っ張る牽引用トラック、対空ミサイル車両やその付属車両だけの行進でした。

 

行進が終わると音楽隊による演奏。
その間に訓練展示の準備が行われます。我々から見えるのは、放水でグラウンドを湿らせる作業だけですが、裏では隊員達が必死に準備作業に追われているのでしょう。

 

11:20を少し過ぎた頃、いよいよ訓練展示の始まりです。

 

偵察ヘリが敵の掩蔽壕を発見し、指揮官に敵の位置を報告するところから始まります。
敵の位置が分かり、敵兵を排除すべく部隊がヘリで降下するというデモンストレーション。

 

UH-1Hヘリがグラウンド中央でホバリングし、ロープを4本垂らして隊員を降下させます。
かなり強い風が吹いていたにもかかわらず、ヘリはピタリと静止していました。さすが、ミリタリー系のパイロットは民間のパイロットと技量が違います。

 

今度はオートバイに乗った隊員が2名登場。
オートバイは観閲台の前に設置されたジャンプ台でジャンプを披露してからグラウンド西端に設けられた仮想敵の掩蔽壕へ向けて空包射撃をします。最初はバイクにまたがったまま立ち上がっての射撃。次はバイクを倒し、それを盾にしての伏射。そして現場を離れるときは、バイクにまたがらず、バイクの片側にしゃがみ込むようにして、バイクを盾にして走り去るというテクニックを披露してくれました。

 

さらに指揮通信車や短距離対空ミサイル、対空レーダー、155mm榴弾砲5門がグラウンドに展開。
155mm榴弾砲の空包射撃はいつ聞いても大迫力ですが、年々音が小さくなっているような気がします。

 

街中の駐屯地なので、まともな装薬量では苦情の件数がとんでもないことになるのでしょう。
それでも、昔はすさまじい大音響とともに紙吹雪を発射してくれていました。昔はグラウンドの西端から東へ向けての射撃だったので、いつもグラウンドの東端にいる私は半端ではない発射音とおなかへの衝撃を楽しんでいました。

 

それが、今回の空包射撃はグラウンド中央付近から西へ向いての発射。西側は写真にも写っていますが、住宅街があります。住宅街の人たちは大丈夫なのかな。赤ちゃんのいる家庭なんて大変だと思いますが。
素人考えだと、北側へ向ければ山ばかりなので騒音の被害は少ないと思うのですが、山に反響して余計に騒音がひどくなるのかな。
色紙の紙吹雪もいつからか廃止されてしまっています。(後片付けが大変ですからね)

 


▲155mm榴弾砲(FH70)による空砲の発射シーン 連射機能を使って運良く撮ることが出来ました。

 

途中からグラウンドへ入ってきた74式戦車も主砲から空砲を発射し、指揮通信車もM2マシンガンで空砲射撃を実演。榴弾砲もそれ以外の火器もすべて西へ向けての射撃だったので、東側にいた私たちは思ったほどの迫力を味わえなかったのが残念。

 

今日は西風が強かったため、空包射撃で発生した火薬カスが私たちの方へ降り注ぎ、写真撮影どころではありませんでした。硝煙と火薬カスにまみれ、デジカメのレンズをホコリだらけにしましたが、これはこれで面白かったかも。

 

訓練展示が終わると、今度は装備品の展示会場へ向かいます。

 

そこでは、普段は絶対にさわることの出来ない本物の銃器を手に取ることが出来ます。
大人の男性や子供達に大人気のコーナーですが、意外にもパンツァーファウストや対空ミサイルをかつぎ、「重い・・・」と言いながらも楽しそうに写真に撮られている女性が多かった。

 


▲パンツァーファウスト3(110mm個人携帯対戦車弾)をかつぐ男の子。実際は14kgもあるので、隊員が上から支えています。

 

この展示会場では、81式短距離地対空誘導弾をコンテナからランチャーへ装填する作業の一部始終を実演してくれました。
訓練展示の際も行っていた作業ですが、間近で見られたのでラッキー。

 


▲81式短距離地対空誘導弾 下の箱にミサイルが入っており、最初はランチャーにミサイルはありません。どうやってこの状態へ持って行くか分かりますか?ちなみに、ミサイルランチャーや制御器は東芝製。
 
20年くらい前は、火炎放射器でテントを燃やしたり、小銃や機関銃の空包射撃も多かったのですが、最近は過激なパフォーマンスはなく、空砲は発射音が小さく、発射弾数も減っているようです。

 

昔は指揮通信車に乗せてくれていましたが、今回は73式小型トラック(ジープと紹介されていました)の試乗のみ。もちろん、運転はさせてもらえません。もう、あの装甲車両の乗り心地を味わうのは無理なのかな。
兵器類の展示も、射程距離は隠されていました。昔は公開されていたのに・・・。

 

何はともあれ、何年かぶりに腹に響く轟音を味わい、兵器類や車両、ヘリをじっくり堪能できて満足満足。