私の場合、山座同定や、これから歩くルートの様子を確認するときに双眼鏡を使うことがあります。
メーカー:Steiner(ドイツ)
製品名:Ranger 8x30
耐候性:生活防水
重量:約500g
価格:実売で約¥30,000
倍率は製品名から分かるとおり8倍ですが、量販店で売られているような安物の10倍、20倍の双眼鏡よりもよっぽどよく見えます。
(ちなみに、たまに凄い勘違いをしている方がいらっしゃるので注意を。倍率表示の「○x□」ですが、○が倍率で、□が対物レンズの直径です。「8x30」は240倍ではありません。また、量販店で売られている双眼鏡の場合、定価が数万円でも実売が数千円ということがあります。数千円で売られている双眼鏡は、いくら定価が高くても、しょせんその値段の性能しか持っていません。パッケージに書かれている定価にだまされないようにしてください。)
(ローカルな例ですが)たとえば、千ヶ峰(標高1005m)の山頂から麓の岩座神の集落(標高360m、地図上で山頂からの水平距離約1,600m)を見た場合、家に出入りしている人の性別がはっきり分かりますし、知っている人なら個人の識別すら可能でしょう。(各人の視力により見え方が異なります。)
量販店で売られている安物双眼鏡しか覗いたことの無かった私にとって、衝撃的な性能です。
見え方がすばらしいだけでなく、他にも利点があります。ピント合わせが不要なのです。
20m以上離れた場所を見る場合は、見る対象の距離が変わっても、ピントを合わせ直す必要がありません。購入後一度ピントを合わせてしまうと、その後は何も考えずに双眼鏡を覗くだけで、はっきりと対象を見ることが出来るのです。
ただ、これが逆に欠点にもなります。自分の目に双眼鏡を合わせているため、他人に双眼鏡を貸した場合にピントが合いません。
「ピントを合わせ直せば良いのでは?」と思われるかも知れませんが、この双眼鏡、ピント合わせが左右のレンズで独立しているのです。左目で左のレンズを覗いてピントを合わせ(右側のレンズにはキャップをはめておく)、今度は右目で右のレンズを覗いてピントを合わせる(左側のレンズにキャップをはめる)必要があります。つまり、ピント合わせがすごく面倒なのです。
双眼鏡を個人装備としている場合は問題ありませんが、共同装備として使うにはかなり不便な双眼鏡です。
とは言っても、私は単独で歩くのがほとんどなので、全く気になりません。
生活防水なので、小雨や雪の中でも遠慮無く使えます。
アイピース(接眼レンズ側のゴム部品)は顔の輪郭に沿った形をしているため、肉眼で覗く時には横からの光を完全にシャットアウトしてくれます。
めがね(サングラス)をかけていたら接眼レンズをめがね(サングラス)にぴったり当てられないという心配はいりません。アイピースを折り返して接眼レンズをむき出しにすることが出来るので、めがねやサングラスの着用時でも問題なく使用することが出来ます。
表面がゴムでコーティングされているため、手に吸い付くような感触です。
重量さえ気にしなければ、アウトドアに最適な製品だと思っていましたが、ここまでの性能は山歩きに必要ないかも知れません。
国内メーカーの小型・防水双眼鏡(ペンタックスのタンクローWP、重量350g)で十分かな。値段もこの双眼鏡の半額程度です。
くれぐれも、数十倍の倍率をもっていたり、ズーム機能を売りにしている双眼鏡は買わないでください。きっと後悔します。